約 3,277,340 件
https://w.atwiki.jp/2chfigma/pages/116.html
No.062 フェイト・テスタロッサ 制服ver. (Fate Testarossa School Uniform Ver.) 「ごめんね、アリシア…だけど、私は行かなくちゃ。ありがとう…ごめんね、アリシア・・・」 情報 作品名 魔法少女リリカルなのはA s 価格 2,500円(税込) 発売日 2010年03月31日 商品全高 約115mm 付属品 表情:笑顔、目瞑り顔 手首:×9(バルディッシュスタンバイフォーム持ち×1) 共通付属品(スタンド、スタンド用アーム、収納袋、di stage用カバースキン) その他:通学カバン、交換用リボン、アルフ(子犬形態) 写真 キャラクター概要 フェイト・テスタロッサ プレシア首謀の一連の出来事(PT事件)における重要参考人として裁判を受けていたが、ヴィータの襲撃を受けた高町なのはの窮地に駆け付け闇の書蒐集の為に暗躍するヴォルケンリッターとの戦いに身を投じる。 今回商品化されるのは留学生という形で転入した私立聖祥大附属小学校に通学する時の制服姿である。 また、PT事件後にリンディ・ハラオウンが申し出た養子縁組はこの頃は保留しており、闇の書事件解決後に正式受諾した。 以降はフェイト・T・ハラオウン バリアジャケットver.を参照。 アルフ ミッドチルダ山奥に住む、生まれて間もなく死病に侵され群れから見放された狼が、フェイトに拾われ使い魔として転生した存在。 人間態への変化も可能である。 フェイトとの関係は主従というよりは仲のいい姉妹に近く、彼女を心から慕っている。 イヌ科動物が素体のためか、なのはの世界のドッグフードが大好物。 闇の書事件における最終局面ではある一言により状況打開の一手を導きだした。 尚この姿はA sにて初めて登場した「こいぬフォーム」である。 商品解説 版権問題があるとされていた『A s』名義での商品化となる。 パッケージに不備があった為、発売2日前という店頭に並ぶ直前で発売が約1週間延期した。 劇場版フェイトとは対照的に、表情に対しては概ね好評な様子。 良い点 悪い点 注意点・不具合情報 関連商品 高町なのは 制服ver. フェイト・テスタロッサ The MOVIE 1st ver. フェイト・テスタロッサ ライトニングフォームver. フェイト・テスタロッサ ソニックフォームver. フェイト・T・ハラオウン バリアジャケットver. 高町なのは セイクリッドモードver. 八神はやて The MOVIE 2nd A s ver. シグナム 騎士服ver. シャマル 騎士服ver. ヴィータ 騎士服ver. コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/7118.html
autolink() N2/W25-006 カード名:ソニックドライブ フェイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:1 コスト:1 トリガー:0 パワー:6000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《クローン》? 【永】記憶あなたのターン中、あなたの思い出置場にカードがあるなら、このカードのパワーを+1500。 【自】アンコール[手札のキャラを1枚控え室に置く](このカードが舞台から控え室に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、このカードがいた枠にレストして置く) この…駄々っ子…っ!! レアリティ:R illust.藤枝雅 13/04/18 今日のカード。 記憶による自ターン1500パンプとハンドアンコールを持ったチェンジ先の「フェイト」?。 チェンジ元が思い出となる上、同エキスパンションにて思い出要因が一挙に増員されたため、記憶条件を満たすのは容易いだろう。 お馴染使い魔アルフの存在からプレイヤーターンであればコンスタントに9500までのサイズを見ることができ、2000/1CXを張るだけで“神の使い”天使などの1/1/7500キャラを応援+イベントカウンター込みでも相打ちまで持って行ける。 一方の相手ターンではアルフ込でもサイズが7000まで落ち、打って変わって割られる側となってしまう 手札との相談になるが、アンコールで維持しながら次のターンに繋げつつ再びパワー9500を叩き込んでやれば良い。 どのハンドアンコールにも言える事だが、盤面維持のためにおよそ1~3枚のキャラを消費することになるため、CXはカムバックアイコン(扉)を採用することが望ましい。 そういった意味では(ネオスタンにおいては)今いるべき場所 フェイトとは1/1アタッカー枠を奪い合う対極の存在となるだろう。 あちらはCXシナジーである代わりにハンドを要求せず、例えチャンプアタックとなっても手札損失ゼロで次のターンの盤面を埋めることができる。 ちなみに、「クド」で「ドライ」なので、約束やイメージチェンジでサーチすることができる。 ・関連カード カード名 レベル/コスト スペック 色 備考 新たなる力 フェイト 1/0 4000/1/0 黄 チェンジ元 「クド」? 「ドライ」?
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/190.html
表紙の折り返しコメント 藤真拓哉 この度は、「魔法少女リリカルなのはvivid」第2巻を購入していただきましてありがとうございます。 4期シリーズとして始まった「リリカルなのはVivid」、皆様の応援のおかげで2巻も無事出すことが出来ました。 これからもよろしくお願いします! この2巻からはオフトレ編がスタート、3日間の様々な出来事の中でヴィヴィオとアインハルトの2人がどのように成長していくのか、注目です。 またこの巻から出てくる《新技》も楽しんでいただけたら嬉しいです^^ それでは本編をお楽しみください!「魔法少女リリカルなのはVivid」第2巻はじまります。 都筑真紀 無闇に作家歴が長い分、すでに相当な数の「主人公」を生み出しているはずの自分ですが、 ヴィヴィオほど明るくて屈託ゼロな主人公って初めてだな、って事に、ついさっき気がつきました。 そんなヴィヴィオは今後も曲がる事なく、リリカルでマジカルにがんばっていく予定です。 帯の武内崇のコメント 可愛いはもちろん正義。だけど、正しいだけでは勝てない戦いがある!可愛く、しなやかで頼もしい!これが最先端の熱血魔法少女活劇!! 長谷川光司のあとがきコメント コロナいーですよね。 いよいよ2巻ですねぇ。すっきりした線と柔らかい質感が大好きです。この先の展開も楽しみにしてますですよ。 長谷川光司先生から応援コメントをいただきました。 あとがき 2巻です。合宿編です。 相変わらずゆるっとまったり、時々懸命路線で進んでいっております。ところで制作秘話というか、ViVidのもう一人の主人公、アインハルトが生まれたいきさつとか。 娘TYPE誌上での「Force」は新規主人公で「重大事件」を描くストーリーとして、コンプエース誌上の「ViVid」はヴィヴィオが主人公であんまり重くならない話。 ここまではあっという間に決まったのですが、実は一番最初の企画段階では「スポーツ格闘」のラインはまだ存在しておらず、 「ヴィヴィオメインの学園&ホームコメディもの、時々事件」くらいの方向性で考えていました。 そんな叩き台状態で組んだストーリープロットは、まだ格闘技やスポーツの要素はそれほどなく、 ヒロイン役として置いていたキャラも、「無口系で受け身型で謎多きヒロインだけど、実は戦闘力が高くて、 主人公(ヴィヴィオ)と闘う事になる」というくらいしか決まっておらず、かなりふんわりしていました。 でも、そんな叩き台状態のストーリープロットを見てくれた藤真先生が、初回打ち合わせの時に「ちょっと描いてきてみました」 と見せてくれた「少女」が今のアインハルトでした。 頂いたその「少女」の絵からはすぐに今の設定や「ViVid」が目指す作品ジャンルやストーリーラインが出来上がっていって なんだかかなりあっという間に今の「覇王っ子」アインハルト・ストラトスが完成しました。 2巻では大分、素の天然度合いも披露されてきてヴィヴィオとの会話やかけあいは、書いていてとても楽しいです。 そして成長過程まっさかりのヴィヴィオや生まれたてのクリスはもちろんとして、アインハルトも「作中で育っていく子」だったりします。 過去と向き合ったり、前を向いたり上を見上げたりしながらヴィヴィオやリオコロ・周りの大人達と一緒にアインハルトも日々育っていきます。 のんびり見守っていっていただけたら嬉しいです。 都筑真紀 追記…いろんな人に「いったい何があったの?」と心配(?)されたルーテシアですが 特に何もありません。もともとこんな子です。 アギトあたりに言わせると「性格変わった」という印象すらないらしいです。「そういえば声が大きくなったかな」くらいで。 藤真です。「魔法少女リリカルなのはViVid」1巻の発売から半年、ついに2巻が発売になりました!! これもたくさんの応援をしてくれているみなさんのおかげです。 ツイッター、ミクシィ、ブログ、はがき、とても暖かいコメントを本当に、本当にありがとうございます! いっぱいの元気を頂いていますよ!! さて、この2巻からはオフトレ編スタート!ということでたくさんのキャラが登場し、ますます賑やかになって来ました。 ついにヴィヴィオの友達、リオ、コロナもバリアジャケット姿をお披露目。 次巻ではヴィヴィオ、アインハルトとともになのはやフェイトにどう立ち向かっていくのか、ますます 白熱するバトル 合宿を楽しんでいただければと思います(笑)! たくさんのキャラといえば少し前、都筑先生に、「ViVid 好きに書いちゃってますが作業量とか大丈夫ですか?」とおっしゃて頂きました。もちろん大丈夫です!! 藤真も全力全開で楽しく描かせていただいてますよ!だって「せーの!」で12人全員変身ですよ! 藤真のテンションも上がるというものです(笑)。これからもテンションアップでがんばりますっ!! そして3巻ではなんと、限定版が出ます!「ヴィヴィオのねんどろいどぷち」が付きます! 祝!ヴィヴィオ初ですよ!!この本が発売している頃には予約が始まっていることと思いますので こちらのほうも合わせてよろしくお願いしますね! では、また3巻でお会いしましょー! 2010.06 藤真 拓哉
https://w.atwiki.jp/yaranaioeleven/pages/51.html
ト、 ヽ\__ _,. ----=ミ、 >――-  ̄ ̄ ` 、 ト、 / / ̄ ヽ | i / / ,. V |/| / ,.イ / / / _/./ j/ / / / // / / ヽ ヽ ヽ´ | / / // / / ヽ. | | | ハ | /! / // ´7ヽ | | | ! ! ! } \| | | ! ! /_ |ハ -‐/ト、| | | ′ ∧ト、N V⌒刈 } // j,.ハ | | ,' | / Y j,.斗=ミ、 j/! / / | | ! ` '´ V / / / | | .人 ヽ _,. ∠ / / | | |. \\ _/イ/ / / ∧!ヘ ヽ. N ヽ _,. -=≦ / / / \|\| r― 〉// / /〉 ヽ 〈 \ r ―=≦ _//´ ̄ / | \ ヽ / | .| ,.イ / 人 /\ V | .|___/ . .| / / ヽ / >○ |___/ |/__/ ハ ●星光のGK なのはの暴走と止めれる唯一の人物(チッ!爆ぜろバカップル共byギャル夫) 【スキル】 『知恵の護り手』…その護り手は蓄えた知識を武器に守り抜く 相手がパワー、テクニックだった場合、セーブ+1 自動発動 【必殺技】 『アレスターチェーン』…無数の鎖でボールを縛る キャッチに+3、相手がパワーの場合更に+2 消費GP40 『トランスポーター』…ゼットンの技を自己流で再現したパス。ロングパス補正を無効 消費GP20
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3513.html
『訓練』が終わり、訓練場を出て待機室に戻る一同。 その空気は緊迫を通り越し、まさに一触即発の冷戦状態である。 そして待機所には騒ぎを聞きつけたはやてたちが待っていた。 「まったく……初日からド派手にやらかしてくれたなぁ」 「………」 じろりとジルグを見やるハヤテ。 対照的にすました表情を崩さないジルグ。 「はやてちゃん、みんなの容態は?」 色々と言いたい事もあるだろうが、 まずは今一番確認したいであろう事をなのはが聞いてくる。 「ああ、3人の容態なら心配あらへんよ。 むしろ訓練当初にボッコボコにされた時より軽いくらいや」 ジルグに撃墜されたスバル、エリオ、キャロは医務室に運ばれた。 特に酷い怪我を負っているわけではなく、 念のため一日安静という報告を聞き、隊長陣の表情が多少緩む。 「---さて……話を始めよか。どうしてあんな事したんかな?」 今回は黙秘は許さない。 自部隊に配属した部下が起こした不祥事だ。 それでも黙秘するようなら…… 「シャーリー殿からデバイスの説明を受けている際 訓練場で訓練が行われていると聞いて面白そうだったので参加しました、以上」 拍子抜けするほどあっさり答えるジルグ。 この孤立無援の状態の中、 神様も裸足で逃げ出したくなるような戦力を誇る面々を前に まったく悪びれる様子もなくヌケヌケと言ってのけるジルグに ティアナなどは呆れを通り越してもはや感心してしまう。 「六課についたらまずうちの所に顔出すように知らせといたはずやけどな?」 「向かう途中シャーリー殿と会ったので、自分のデバイスへの興味に負けました」 「あ~……ごめんねー。はやてちゃんの所に行く途中だって知らなかったから」 シャーリーが詫びる。 だが実際のところ、ジルグははやての所へ向かっていたわけではなく。 入り口の案内掲示板を見て、始めからデバイスの調整室に向かって歩いていたのである。 はやての前にシャーリーと出会うのは当然だ。 当然シャーリーはそのことは知らない。 「話し聞くとジルグさんの向かっとった場所は部隊長室やないみたいやけど?」 「道に迷いました」 白々しいにも程がある台詞で即答するジルグ。 はやてはこめかみに浮いた血管を人差し指で押さえながら考える。 言ってる事はそれほどおかしい訳ではない。 それが本当に 『部隊長室に行く前に道に迷い、 偶然にもシャーリーと会って自身のデバイスの話に夢中になってしまい 隊員の訓練中と聞かされて興味深々で当初の目的を忘れて訓練場に向かい 思わず血が騒いで訓練に無断で参加してしまった』のであれば 確かに規律違反ではあるがそこまで青筋立てるほどの話ではない。 だがその人物は今や曰くつきどころではないジルグである。 しかしこの調子だといつまで立っても埒が明かず、糠に釘の状態が続くだけだろう。 「とりあえず”今日のところは”そういう事にしといたるわ。 それと今後は無断で他の隊員の訓練等に乱入しないこと! それはよーく肝に銘じといてや?」 「了解しました申し訳ありません」 聞き様によっては棒読みにも聞こえる声で、流れるようにジルグは答える。 (あかん……初日からこんな状態やとジルグさんの思う壺や) 深呼吸して当初の予定を思い出すはやて。 「まぁ……まずは『道にも迷った』事やし、 ジルグさんに六課内を案内せないかんのやけど……」 しかし直前に起こった事が事である。 味方撃ちの話を知っている隊長陣もそうだし 始めに頼む予定だったリインなどは特にジルグへの嫌悪感が 今回の件でさらに悪化したようで、無言でジルグを睨みつけている。 ザフィーラに頼み込んで行ってもらうか、 デバイス調整関連の作業ペースに大幅な支障をきたしてしまうが いっそのことシャーリーに……… そう考えていたはやてに、思いもよらぬ人物から声が上がった。 「あの、よろしければ私が案内をしようと思います」 「ティアナ!?」 なのはから驚きの声が上がる。 他の面々も一様に驚いた様子だ。 ティアナ達フォワード陣はジルグが陸士第108部隊で起こした事件を知らない。 だがつい先程、下手をすれば医務室送りにされかねない戦闘を一方的に仕掛けてきた相手を 自分から案内をしたいと言い出すなど普通に考えてありえない。 「いや、お前は訓練で疲れてるだろうし他の奴に……」 言いかけてヴィータが口を噤む、 その『他の奴』がいないから今の状況になっているのだから。 「今日の訓練はいつもよりは余裕を持って終わらせることが出来ましたし これから一緒に戦う『仲間』なのですから、それもかねて案内したいのですが」 ティアナの言い方にどこか引っかかりを感じるはやて。 そして数秒後、頭の中でポンと手を打つ。 つまりティアナは自分達と共闘することになるであろうこの危険人物の事を 自分自身の目で見極めたいのであろう。 「わかった、じゃあ頼むわ。ジルグさん、ティアナに建物内案内してもらってな」 「了解だ」 「は、はやてちゃん!?」 はやての言葉に驚いたなのはが何か言いかけたところで はやてはなのはに「ここは抑えて」という目線を送った。 仕方なく同意するなのは。 「……うん、わかった。でもティアナ、案内が終わったら身体のケアは忘れずにするんだよ?」 「了解です」 形式どおりに答え、ジルグと共に退出するティアナ。 そして残された隊長陣。 「いいの? はやてちゃん」 心配そうな表情で聞いてくるフェイトに 「多分大丈夫やろ。ティアナにはあの子なりの考えがあるみたいやったし。 あくまで勘やけど、こういう状況で騒ぎを起こすタイプには見えへんよ。 ジルグさんがロリコンとかやったら別の意味で危険やと思うけどそらないやろうし」 と事も無げに答えるはやて。 「どうしたヴィータ?ガラにもなく難しい顔をして」 先程からずいぶん静かなヴィータをの様子を不審がるシグナム。 「ん?ああいや……どうでもいい事ってーか 怒らないで聞いてくれよ?ただの印象だしさ」 珍しくいやに周りくどい言い方をするヴィータ。 「なんだ?」 「いや、あの二人…性格的に意外と似てるんじゃねーかって…… うわ! なのは! いきなりレイジングハートを突きつけるな!!」 ああ、となんとなく納得するはやて。 もちろんティアナは味方に突然攻撃を仕掛けるような人間ではない。 今はスバルという存在があるし フォワード陣の指揮役として、エリオやキャロともコミュニケーションをとろうと努力している。 だが彼女も元々他人とは一定の距離を置こうとするタイプだ。 さっきのやり取りで、ヴィータはそのあたりを感じたのだろう。 「ちょっと部屋の外でお話しようか?」 となのはに追い掛け回されれるヴィータを眺めながらはやては思った。 ---一方 ジルグを連れて部屋から出たティアナは部屋から少し離れたところでジルグに話しかけた。 「そういえば自己紹介がまだでしたね。 私は六課でスターズ分隊センターガードを務める ティアナ・ランスター二等陸士です、よろしくお願いします」 そう言ってジルグに向き合い敬礼する。 「本日付で六課に着任した。 まだ所属は聞いていないが、ジルグ二等陸士だ こちらこそよろしく、ティアナ殿」 ジルグもそれに答え、敬礼を返す。 「いえ、階級も同じでジルグさんのほうが年上ですし、ティアナで構いません」 「わかった、そうさせてもらう」 隊長陣の心配をよそに、二人はいたって普通に六課内をめぐっていた。 先の戦闘の件はお互いおくびにも出さない。 ティアナとしては最低限の説明で話を理解し、 必要以上の質問をせず、簡潔にまとめて質問してくれるジルグの相手は どちらかといえばなのはあたりを相手にするよりはむしろ気楽といえた。 ジルグとしても、いちいちギャアギャアわめかずに 必要最低限の事を簡潔に説明してくれるティアナは あの隊長達と比べればよほど理想的な案内役だ。 ヴィータの言葉通り、 本来ならお互いに不必要な干渉はしないし、 したくない性格というのは合っているのかもしれない。 「──で、ここがジルグさんの部屋になります」 「わかった」 元々はエリオとジルグが同部屋となる予定だった。 だが、ジルグと同部屋だとエリオが精神的に参ってしまうのではないかと考えた隊長陣は 結局部屋を分けることにしたのだった。 今日の騒動を見る限り、判断は正解といえよう。 最後にジルグの部屋に辿り着き、案内は終了した。 「以上です、私は明日も早朝訓練がありますが ジルグさんはどうしますか?」 「特に何も聞いていなかったからこの後聞きに行く。 あの様子だと合同の訓練は当分許可してもらえなさそうだが」 と可笑しそうに笑うジルグ。 「そうですか…」 「?」 初めて何かを言い淀むティアナに疑問の目を向けるジルグ。 「ジルグさんから見て、今日の戦闘における私たちの動きはどう映ったでしょうか?」 なるほど、今まで全く触れなかったとはいえ その話題に関してはさすがに言い淀むだろう。 だが自分を非難するのではなく敵の視点から見た感想を聞くとは… 「戦闘中も言ったが悪くはない。 数に勝るなら合流を優先させ、数的優位に立つ。 そしてそれを生かせる場所で戦いを挑むのは賢明な判断だ」 「でも私たちはあなたに完敗しました、何故ですか?」 「………」 しばし考え口を開くジルグ。 「味方を生かす戦術は考えていたが、あの状況で敵がどういう手段で対抗してくるか── を予測しなかったことが敗因の一つだ」 なるほど、とティアナは頷く。 敵を数的不利な状況下に追い詰める事に集中していたが 実際に追い込んだ場合、敵はどのような反撃に転じるのか。 退却するか? 抗戦してくるか? 前者ならそこで終了するか追撃戦にシフトする。 だが後者の場合、どの様な反撃をしてくるのかまでは今回考えなかった。 単純に数に任せて多方向から攻撃を仕掛けようとしただけだ。 これまでの訓練…ガジェット相手の訓練は基本的に敵の方が多く 単純な思考回路を持つガジェット相手ということもあり ただいかにして相手を減らしていくかを考えていた。 なのはが相手の場合、あらかじめ自分達が個々で劣る『挑む側』として戦術を組み立てていた。 だが、実際の戦いで相手の能力が不明のまま今日のような状況になった場合 今回のジルグもそうだが、ジルグどころかそれ以上の相手である可能性だってあるのだ。 その場合はどうすればいいか…… 思考の海に沈みそうになった頭を振る。 「一つ、という事は他にもあるのでしょうか?」 「特にはない。『今は』それが原因だろう」 つまりはまだ単純に力不足だった、ということだろうか。 あの時の戦闘を見る限り、それを否定する事はティアナには出来なかった ティアナはジルグに敬礼する。 「大変参考になりました、また何かあればよろしくお願いします」 「了解だ」 敬礼を返すジルグを背にし、 ティアナは訓練後のシャワーを忘れていたことを思い出し 「そういえばスバルは目を覚ましたのかしら」などと考えながら シャワールームに向かうのだった 前へ 次へ
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/7114.html
autolink() N2/W25-004 カード名:友達のために フェイト カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:0 コスト:0 トリガー:0 パワー:2000 ソウル:1 特徴:《魔法》?・《クローン》? 【自】このカードが手札から舞台に置かれた時、そのターン中、このカードのレベルを+1し、パワーを+1000。 【自】[①]バトル中のこのカードがリバースした時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、このカードを思い出にする。 なのはぁぁー! うああああっ! レアリティ:R illust.藤真拓哉 13/04/17 今日のカード。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3630.html
8:百合ショッカー本部殴り込み編 なのは・ユーノ・士・光太郎の四人は数多の戦いの末ついにクラナガンにやって来ていた。 「ついにここまで来たぞ。後一息だ。」 「でも私達四人だけで百合ショッカー総本部を攻撃なんて無茶な気がするんだけど…。」 最終決戦へ向けて静かにながら意気込んでいた士に対し、なのはは不安げだった。仕方が無い。 今のクラナガン、かつての時空管理局ミッド地上本部は百合ショッカーの総本部と化している。 それ故に敵の防衛網も今までとは比較にならない事は想像に難くなかった。 「いや、むしろ逆かもしれないよなのは。」 「え? ユーノ君それどういう事?」 「今まで見て来た通り、百合ショッカーは色々な世界に侵攻しているけど、それぞれの世界にも 百合ショッカーと戦う人達がいた。彼等と戦う為に百合ショッカーもさらに兵力を送り込まなければならない。 …と言う事は、逆に総本部のあるここは守りが手薄になっている可能性が高いと言う事だよ。 それに、下手に大人数で行くよりも少数で一気に奥まで忍び込んで頭を取ると言うのも立派な手。」 ユーノの言葉になのはも思わず納得していた。例え姿はフェレットであろうとも、流石はなのはのブレーンとも言えるユーノだった。 「しかし安心ばかりもしていられない。絶対数こそ少なくとも、総本部ともなれば敵も精鋭が守りに付いているはず。」 「うん…いずれにせよ激戦は避けられないんだね…。」 光太郎の言葉になのはは不安げだった表情を引き締めレイジングハートを握っていたのだが… 「その通りだ。良くぞここまで来たな。」 「ほらおいでなすったぞ!」 早速現れた百合ショッカー総本部の防衛部隊。しかし、それは仮面ライダー1号&2号と瓜二つの者達… それがのべ数十人も揃っていたのだった。 「仮面ライダー!? しかもあんなに…。」 「違う! あれはショッカーライダーだ!」 「ショッカーライダー!?」 「仮面ライダー1号及び2号は元々ショッカーが一怪人として改造した者だと言う事は以前にも話したが、 それに対抗する為にゲルショッカーが作った仮面ライダーの同型改造人間達だ!」 ショッカーライダー。元々自分達が作り上げた仮面ライダー1号及び2号に苦渋を舐めさせられたゲルショッカーが 対仮面ライダー用に仮面ライダー改造時の設計を基に、戦闘員の中でも優秀な者を改造して作り上げた存在… それがショッカーライダーであった。手袋及びブーツが黄色く、そして赤を除く色とりどりのマフラーを巻いているのが特徴である。 「その通り。確かにこの者達はショッカーライダーだ。しかし厳密には違う。百合厨の中でも特に優秀だと判断された者を 素体とし、百合ショッカーが改造した百合ショッカーライダーだ。」 「!!」 ショッカーライダー…いや百合ショッカーライダーの軍団の中心に立つ一風変わった全身を甲冑に覆われた男がいた。 「地獄大使か…。」 「地獄大使? 違うな。今の私は地獄大使改めガチ百合大使だ。」 地獄大使。『仮面ライダーの世界』においてショッカーの幹部の一人だった地獄大使。それが百合ショッカーに 参加する事によってガチ百合大使と名乗っていたのだった。そして、ショッカーライダー部隊もまた彼の言葉通りなら 百合厨の中でも特に重度の百合厨を元にした百合ショッカーライダーであると思われる。 「シャドームーンの奴は高町なのはを首領と引き合わせる事によってなのフェイの百合を復活させ それによって各世界の百合厨からの支持を得て百合ショッカーの支配体制を固める事を狙っている様だが… 我々はその様には考えていない。」 「そうだ。もう淫獣に股開いて中古になったなのはに価値は無いね。」 「まっまだそんな事してないよ////////」 ガチ百合大使と百合ショッカーライダーの言葉になのはとユーノは赤くなってしまっていたが、 彼等のその態度、それはなのはをフェイトを引き合わせようとしていたヴィータ達とは明らかに違っていた。 「故に我等は高町なのはとユーノ=スクライアを殺す事に躊躇いは無い。覚悟しろ!」 「流石は特に重度の百合厨を改造しただけの事はある…か…。」 重度の百合厨ともなればなのフェイの百合以外は考えられず、それ以外のカップリングは根絶の対象となる。 特になのは×ユーノともなれば、彼等にとってはゴミクズ以下だろう。ならば、今なのはとユーノが一緒にいる と言う状況は彼等にとって忌むべき物であり、ユーノと一緒に入る事を当たり前に受け入れているなのはもまた 彼等にとって忌むべき対象なのだろう。 「我々の愛した高町なのははもう我々の心の中にしか生きていない。今目の前にいるあの女はただのビッチ…。 淫獣に股開いたただの中古女なんだ! あんな奴に価値などありはしない!」 「だからそんな事してないよ////////」 「凄い言われ様だな…。」 百合ショッカーライダー軍団にビッチだの中古だの言われて凄いショックを受けるなのはだったが、 逆に士と光太郎は呆れるばかりだった。しかし、百合ショッカーライダー軍団が脅威である事は事実。 故にそれぞれ変身をして戦闘態勢を取る。 「変身!」 『カメンライド! ディケーイド!』 「変身!! 仮面ライダーBLACK!」 「セーットアーップ!」 なのはとその肩に乗ったフェレットユーノ・ディケイド・BLACKの四人と、百合ショッカーライダー軍団が 相対し、今戦闘が始まった。 「やれい! 百合ショッカーライダーども!」 「ユリィィィィ!!」 ガチ百合大使の号令に合わせ、百合ショッカーライダー軍団が一斉に駆け出していく。伊達に仮面ライダー1号・2号の 設計を流用して作られただけの事はあり、物凄い脚力と速度で接近して来ていた。 「来るぞ!」 ディケイドはライドブッカー・ソードモードを握り振り上げ、BLACKはパンチで跳びかかって来た 百合ショッカーライダーを迎撃した。しかし、百合ショッカーライダーは軽やかにそれを回避し、 逆にキックを打ち込んでいた。それには思わず怯んでしまうディケイド・BLACK。 「ディケイドとBLACKは後回し。まずあのビッチと淫獣をゲゲルしろー!」 「わっくっ来る!」 百合ショッカーライダーはディケイドとBLACKの相手を後回しにし、なのは・ユーノへ向けて猛烈な速度で 駆け寄せて来る。なのははレイジングハートの先端を向け、ディバインバスターで迎撃しようとしていたが間に合わない。 「させるか!」 『カメンライド! 響鬼! アタックライド! 音撃棒・烈火!』 ディケイドは響鬼のカードをディケイドライバーに差し込む事で仮面ライダー響鬼に変身し、 さらにアタックライド・音撃棒・烈火から放たれる火炎弾を連続で発射するが、それさえ百合ショッカーライダーは 回避しつつなのはとユーノへ接近して行く。 「くっ!!」 ユーノはなのはの左肩の上に立ち、防御魔法を展開して百合ショッカーライダーを阻もうとする。 しかし…その行動はお見通しとばかりに百合ショッカーライダーは構わず突撃を続けていた。 「ライダーパーンチ!!」 百合ショッカーライダー軍団のライダーパンチがほぼ同時にユーノの防御魔法へ打ち込まれ、 直後にそれが破られ砕けていた。こと防御に関しては実質Sランク級にも匹敵し得る物を持つユーノの防御魔法を 破った百合ショッカーライダーの集団ライダーパンチ。後は彼等の拳が直接なのはとユーノを襲う…と思われたが… 「危ない!」 とっさにディケイド響鬼が跳び、なのはとユーノを突き飛ばす。そのおかげでなのはとユーノの二人は何とか助かったが、 代わりにディケイド響鬼が百合ショッカーライダーのライダーパンチを受けてしまった。忽ち響鬼への変身が解除されてしまうのは 勿論の事、超硬度・超耐衝撃性・超耐熱性を誇るディヴァインオレ鉱石製のディケイドのボディーの彼方此方から激しい火花が散り倒れ込んでしまう。 これは百合ショッカーライダーの攻撃力の凄まじさを物語っていた。 「ぐぁ!」 「士さん!」 「くっ…邪魔が入ったか。だがディケイドに大ダメージを与えられただけでも良しとしよう。」 なのはとユーノは大急ぎでディケイドへ駆け寄り起き上がらせようとしていたが、ディヴァインオレ製の スーツでも完全には耐え切れなかった程にディケイドのダメージは大きいらしく中々起き上がれなかった。 「くそ…量産型ライダーのくせに何て強さだ。」 「だから言ったでは無いか。百合ショッカーライダーは百合厨の中でも特に優秀な百合厨を改造してあると。」 確かにその通りだった。百合ショッカーライダーは量産型とは言え、百合厨の中でも特に重度の百合厨を 基にして改造された存在。それ故に戦闘力は百合戦闘員やユリトルーパーとは比較にならなかった。 「ディケイドにBLACKよ、ここで高町なのはとユーノ=スクライアを大人しく渡すのであれば お前達二人の命だけは助けても良いと思うが…どうかね?」 「断る!」 「何時までそんな強がりが言えるかな? 今このクラナガン近辺にいる反抗勢力はお前達四人だけだ。 今までの様に助けは来ないぞ。」 ガチ百合大使及び百合ショッカーライダー部隊の目的はなのはとユーノを闇に葬る事。 それ故にこの二人を消せるならディケイドとBLACKはどうでも良いと考えていた。 無論そんな事はディケイド・BLACKが許容出来るはずが無いが、今この状況で 誰かが助けに来てくれるとは到底思えなかった。 「私達が貴方達に素直に殺されれば…士さんと光太郎さんを助けてくれるんですね?」 「お…おい…。」 ここでなのはとユーノがゆっくりと百合ショッカーライダー部隊へ向けて歩み寄っていく。 「おい! やめろ!」 「士さん…光太郎さん…。私達が時間を稼いでいる内に逃げて下さい。」 「そして今一度体勢を立て直し、何時の日か百合ショッカーから…世界を守ってください…。」 なのはとユーノは自身の死を賭してでもディケイドとBLACKを助けるつもりだった。 元より誰かを守る為に時空管理局に入った身。その為に誰かを助けられるなら本望。そう考えていたのである。 「やめろ! 奴等がそんな約束を守る物か!」 「ハッハッハッハッ! 潔いとはまさにこの事だな。やはりこの世は百合こそが絶対的な正義。 なのは×ユーノを支持する奴など何処の世界にいると言うのだ。」 「ここにいるぞぉ!!」 「!?」 突如として響き渡った謎の声。まるで三国志における馬岱の名台詞を連想させる言葉を叫び放ったのは 一体何者なのかと思わずその場にいた誰もが騒然としていたのだが… 「とぉ!」 「うあっ!」 直後として何者かが乱入し、百合ショッカーライダーの手に掛かろうとしていたなのはとユーノの二人を 救出し、ディケイド・BLACKの所まで連れ帰していた。 「おっお前は…ユウスケ!」 「この二人の笑顔は…俺が守る!!」 突如として乱入し、なのはとユーノの窮地を救った者、それはディケイドの旅の仲間であった 仮面ライダークウガこと小野寺ユウスケだった。しかし、現れたのはそれだけでは無かった。 「大丈夫ですか士君!」 「夏みかん…。」 倒れていたディケイドを掴み支え上げていたのは、同じくディケイドの旅の仲間である仮面ライダーキバーラこと光夏海。 そしてクウガはなのはとユーノの二人を守る様に前に立ち、構えていた。 「俺も一緒に戦うぞ!」 「お前等今頃…来るのが遅いんだよ!!」 思わずディケイドはクウガとキバーラにそう怒鳴り付けていたのだったが、表面的には怒りつつも 何処か喜びが感じられた。 「実は僕もいるんだ。」 「海東…。」 次に現れた者…それは仮面ライダーディエンドこと海東大樹であった。士がディケイドになる以前から 数多の世界を旅し、その世界のお宝を手に入れるドロボ…ゲフンゲフン…怪盗をしており、時にはディケイドの ライバルとなる事もあったが、色々あって彼もディケイドの旅の仲間となっていた。 「西も東も百合で塗れたこのご時勢だからこそ…なのは×ユーノは逆にとても貴重なお宝になってると思うんだよね。 まぁ…僕のポケットに入る様な物じゃないし、持ち帰る事も出来ないけどね。」 「とりあえず協力してくれると言う事で良いんだな?」 クウガ・ディエンド・キバーラの増援で一気に勢い付くが、百合ショッカーライダー軍団が圧倒的なのも事実だった。 クウガ・ディエンド・キバーラの救援を受けたなのは・ユーノ・ディケイド・BLACK。 しかし百合ショッカーライダー軍団の相手はそれでも辛そうであった。 「たった三人が増えただけで何が出来る! 数で押し潰してやる!」 「さて、それはどうかな?」 ディエンドは銃として右手に持つディエンドライバーを百合ショッカーライダー部隊へ向け、何処からかカードを 取り出しディエンドライバーへ差し込んでいた。元々ディケイドと同系統の技術によって作られたディエンドもまた、 カメンライドによって様々なライダーを召喚したり、また実体のある幻影を作り出して戦わせる事が出来た。 それによって物量差を覆そうとしていたのだった。 「実はね、僕は士を探すついでに三国志の世界へ行っていたのさ。」 「三国志の世界?」 「残念ながらお宝らしいお宝は手に入らなかったけど、その代わりに三国志武将をライドする事が出来る様になったんだ。」 「わぁ! 何か戦力として頼りになりそうな予感!」 ディケイドがプリキュアの世界へ行ってプリキュアをライド出来る様になったのと同じ様に、ディエンドもまた三国志の世界へ行き 名だたる三国志武将をライドして呼び出す事が出来る様になったと言う。それにはなのはとユーノの二人も思わず期待せざる得ない。 『三国ライド! 五虎大将!』 「おお! いきなり五虎大将か!」 五虎大将とは、三国志の魏・呉・蜀の三国の内の蜀における関羽・張飛・趙雲・黄忠・馬超の五人の武将を指す。 いずれも今日においても語り継がれる程の有名武将である。あくまでもディエンドがライドして呼び出した 実体のある幻影であるとは言え、今と言う状況下においては頼りになる存在と思えたが……… 「よりによって恋姫無双版かよ!!」 何と言う事であろうか。ディエンドがライドして呼び出した五虎大将とは、恋姫無双版だったのである。 「海東! お前が行った三国志の世界って恋姫無双の世界の事かよ!」 「うん。それがどうかしたのかい?」 「てっきり横山三国志とか三国無双とか最強武将伝あたりから連れて来ると思ってたからな…。」 恋姫無双の世界は三国志の世界と似て非なる世界。何しろ三国志の名だたる武将達が女性化してる世界だからね。 美髭公と呼ばれる位に立派な髭を蓄えていた事で有名な関羽も、恋姫無双の世界では美しく長い黒髪を持った女性になってる位だ。 「あの…僕達はあれが何なのかちょっと良く分からないんですけど…本当に大丈夫なんですか?」 「安心しろ。俺も良く分からん。」 五虎大将と言うからには絶対に頼りがいのありそうな強そうな男達が現れると期待していた事もあり、 恋姫無双版の五虎大将を見て、それについて良く知らないユーノとなのはは凄い不安げな顔になっていた。勿論BLACKも。 「けどあいつ等強いぞ!」 「本当だ! ってか強っ!」 「何で!?」 皆の不安とは対照的に彼女達は強かった。黄忠のさながらマシンガンの様に高速連射される矢によって 百合ショッカーライダーは次々に射貫かれ、関羽・張飛・趙雲・馬超の四人もまた女性の細腕からは想像も出来ない力で 手に持つ大きな得物をブンブンと振り回して百合ショッカーライダーを次々に薙ぎ倒していく。 彼女達はあくまでもただの人間のはずなのにどうしてあそこまで強いのか意味が分からない程であった。 「もう全部あいつ等五人だけで良いんじゃないかな。」 「いやいや、実はもう一人必要なんだよ。」 「え?」 ディエンドはもう一人必要だと言うが、一体誰を呼び出すと言うのだろう。 『三国ライド! 孔明!』 「はわわ~、ご主人様、敵が来ちゃいました~。」 「で?」 ディエンドが三国ライドで呼び出した諸葛亮孔明…勿論恋姫無双版である事は言うまでも無い事だが 先の五人と違ってあたふたするばかりでとても戦力になるとは思えない。一体何の意味があるのだろうか? 「何か意味あんの?」 「当然あるさ。筆者が喜ぶ。」 何を隠そう筆者は朱里ちゃん好きだからこれだけは絶対にやっておきたいのであった。 とまあこんな感じで百合ショッカーライダー部隊は五虎大将に任せとけば間も無く全滅する…と思われたが… 「ええい不甲斐無い奴等め! こうなったら私が直々に相手をしてやる。」 ここでガチ百合大使が前に出て来た。無論五虎大将は一気にガチ百合大使へ向けて駆け寄せるが… 「百合ショッカー百合幹部ガチ百合大使。してその実態は…ユリユリユリユリ…ユリユリンダァ!!」 「ああ! あの人怪人に変身したよ!」 地獄大使が怪人ガラガランダに変身する事は知られている。そしてガチ百合大使もまた、ユリユリンダなる怪人へ変身し、 しかもそのまま右手のムチで五人まとめて払い倒し、一気に消滅させてしまった。あくまでもディエンドのライドによって 呼び出された複製の悲しさ。この通りある程度のダメージを受けると消滅する仕組みになっていたのだった。 「あぁ! 強い!」 「邪魔者は消えた! 一気に畳み掛けろぉ!」 「ユリー!」 ユリユリンダの号令により、百合ショッカーライダーが再び勢いを取り戻し突撃を開始した。 「くそ! こうなったら今度こそ本当にやるしか無いぞ!」 迫り来る百合ショッカーライダー部隊に対し皆は戦闘態勢を取り、再び戦いが始まった。 ディケイドはライドブッカーソードモードで百合ショッカーライダーを斬り倒し、BLACKはバトルホッパーで轢き飛ばし、 ユーノがチェーンバインドで縛り上げた隙になのはがディバインバスターで吹き飛ばすし、クウガはライダーキックから放たれる 爆発で吹き飛ばし、ディエンドはディエンドライバーから放たれるディメンションシュートを撃ち込み、キバーラは 光夏海本人が持つ人を笑わせるツボを突く事が出来る能力を利用して百合ショッカーライダーを笑わせる等、 各々の持てる能力を駆使して百合ショッカーライダー部隊と戦っていたが、やはり百合ショッカーライダーは 百合厨の中の百合厨が基になっているだけあってそれでもまだ足りない強さと勢いを持っていた。 「これはさらなる戦力の増強が必要だね。」 「また誰かを呼び出すのかい?」 ディエンドはカードを取り出し、ディエンドライバーに差し込む。またカメンライドかはたまた三国ライドで 誰かを呼び出して戦うのかと思われていたのだったが…… 『カメンライド! ダブルドライバー!』 「え!?」 ここで予想だにしない事が起こった。フェレット形態であったユーノが突如として人間の姿に戻り、 さらに彼の腰には『仮面ライダーW』の世界における仮面ライダーが巻くベルト・ダブルドライバーが巻かれていたのである。 「あの…これは一体どういう事なのかい?」 「ちょっと待って。これはもう一人いないとダメな事なんだ。」 ユーノはさっぱり意味が分からず問い掛けていたが、ディエンドはキョロキョロを辺りを見渡していた。 だが、そんな時に… 「僕はダメかな?」 「クロノ!」 「リンディさんまで。」 ここでクロノとリンディの二人が何処からか姿を現していた。 「でもどうして?」 「百合ショッカーに囚われていた所を私が救い出したんです。」 どうやらクロノも百合ショッカーに囚われていたらしく、そこを既に百合ショッカーの呪縛から解き放たれていた リンディが救い出した様子であった。 「今更出て来てこんな事を言うのも何だけど…僕にも協力させてくれ。フェレットもどきばかりに良い格好はさせられないからな。」 「よし。君なら丁度良い。ならば行くよ。」 『カメンライド! ダブルドライバー!』 クロノの腰にもダブルドライバーが巻かれ、さらにユーノの右手には緑色の、クロノの左手には黒のUSBメモリ状の物体… ガイアメモリが握られていた。 「さあ、それをダブルドライバーに差すんだ。」 「行くよ…。」 「ああ…。」 ユーノ・クロノはそれぞれの手に握るガイアメモリをダブルドライバーへと差し込んだ。 「今この瞬間だけは僕達は二人で一人の仮面ライダーだ!」 『サイクロン!』 『ジョーカー!』 次の瞬間、ユーノの姿が左半身が黒の、右半身が緑の姿へ変貌して行く。それこそ『Wの世界』におけるライダー、 仮面ライダーW・サイクロンジョーカーである。 そして、ユーノがサイクロンジョーカーへ変身するのに伴い、クロノの精神はサイクロンジョーカーの内の ジョーカーの部分へ移る形となり、魂を抜かれた様にグッタリと倒れそうになっていたクロノをリンディが受け抱き上げていた。 「ユーノ君が緑と黒のライダーになっちゃった!」 ユーノの変貌になのはは驚くばかりだったが、サイクロンジョーカーとなったユーノとクロノは 自分がライダーに変身した事によってテンションが上がったのか、百合ショッカーライダー部隊を指差しポーズを決めていた。 「さあ! お前達がヲカズにした百合カップルを数えろ!」 ユーノとクロノの声が思い切りハモり、普段はいがみ合っていても何だかんだで仲良い事を暗示させていた。 「あの…私はその仮面ライダーWと言うのが良く分からないんだけど、とりあえずクロノ君の方もそっちに入ってるって事で良いのかな?」 「うん。そう考えてもらって結構。」 ユーノがただライダーに変身するだけならまだしも、クロノの精神まで入り込むのはどういう理屈なのだろうと なのはは不思議に思っていたのだが、とりあえずはそういう物だと理解するしか無かった。 「淫獣がライダーになったぞー!」 「うろたえるな! ただのコケ脅しだ!」 「何か変な事をされる前に出鼻を挫いてしまえ!」 百合ショッカーライダー部隊の何人かがユノクロWへ向けて突撃を開始した。しかし、ライダーに変身した事でテンションを上げた ユーノ・クロノはそれに戸惑いを感じていなかった。 「今の僕達は一味も二味も違うよ!」 ユノクロWが右手を前に突き出す。するとどうだろうか。直後にその右手から猛烈な強風が吹き荒れ、それには思わず 百合ショッカーライダー数名も進撃速度を鈍らせてしまう。これがサイクロンジョーカーの中のサイクロンの持つ能力。 サイクロンであるが故に風を操る事が出来るのである。 「ただの風だ! 怯まず進め!」 「たかが風…されど風と言う事だよ。はっ!」 ユノクロWの右半身であるサイクロンの力によって起こした強風で百合ショッカーライダーの進撃速度が鈍った隙を突き、 さらに風の力を利用して勢いを増したユノクロWの左拳が百合ショッカーライダーを殴り飛ばしていた。 これがサイクロンジョーカーの内のジョーカーの持つ能力。特にそれと言った特殊能力は無いが、純粋に身体能力を高める 能力を持ち、そのシンプルさがかえって使い勝手の良さに繋がっていた。 「うわ! 凄ーい! ユーノ君もう別人みたい!」 クロノも半分混じってるけど、ユーノの別人みたいな活躍になのはもビックリだった。だが、少し残念な気持ちもあった。 「けど…個人的には士さんの力で大きなフェレットさんになる方が私個人としては嬉しかったかな…。」 なのは個人としてはライダーとして活躍するユーノよりも、ディケイドのファイナルフォームライドで巨大フェレットの 姿になって活躍するユーノの方が好きだった。しかし今と言う状況では個人的な好き嫌いを言っている場合では無かった。 「まあ良いや。どうせなら私も何かライダーになりたいな~。何か良いの無いの?」 「いや、君はそのままでも十分強いから必要無いでしょ?」 「ショボーン」 ユノクロWに影響されて自分もライダーになって見たいと思い始めたなのはであったが、即効でディエンドに 拒否されてガックリと肩を落としていた。 「とりあえず今は奴等を倒すのが先決だ。」 「敵の数はまだまだ多いからな。」 その通り。今目の前にはまだまだ沢山の百合ショッカーライダーの大軍とガチ百合大使ことユリユリンダがいる。 これを倒して先に進まねばならぬ…と思われていたが…その直後だった。 「とぉ! ライダー! トリプル! キィィィィック!!」 「何!?」 なのは達の背後から何者かが三人、高々とジャンプして跳び超えると共にキックで百合ショッカーライダー達を 蹴り飛ばしていた。一体誰なのか? 「ここは俺達に任せてお前達は先へ進むんだ!」 「1号! 2号! V3!」 ここでさらに現れたのは仮面ライダー1号・2号・V3だった。秋葉原の世界で、後々合流すると言っていた彼等だが、 本当にその通りにやって来ていたのである。そして三人は百合ショッカーライダーを次々に殴り倒し蹴り倒し、 投げ飛ばしながらディケイド達に先へ進む様叫んでいたのだった。 「ここはあいつ等に任せて俺達は先に進むんだ。」 「で…でも士さん…大丈夫なんですか?」 「アイツ等だって仮面ライダーだ。心配はいらない。」 「本当に倒すべき敵はこの先にいるんだしね。」 なのははたった三人に百合ショッカーライダー部隊の相手を任せる事に不安を感じていたが、 敵は目の前の百合ショッカーライダー部隊だけでは無いのである。故にここは三人に任せて先へ進むしか無かった。 「おっと夏みかん。お前はあの二人と一緒に何処か安全な所へ行くんだ。」 「え?」 ディケイドはキバーラの肩に手を置きつつ、ユノクロWに精神が移った事によって魂が抜けた様にグッタリしていた クロノを抱き支えていたリンディを指差していた。 「士君。私は戦力として当てにならないと言うんですか?」 「違う! あの二人を守ってやれと言うんだ。特にあっちの黒い服の男の方は精神がWの方に移ってるから その状態でやられたら大変な事になる。それにあっちのオバサ―――」 少々お待ちください 「あ…あっちの綺麗で美人のお姉さん一人にあの男担がせるのも大変だろう。これも重要な事だ。」 「分かりました士君。そういう事ならば私はこの二人を守ります。」 「ありがとう助かります。」 先程途中で台詞が途切れた様な気がしたが、とりあえずここでキバーラはクロノ・リンディを守ると言う名目で 二人と共に世界と世界を繋ぐ次元のオーロラを通って安全圏へと脱出した。 「よし。とにかく1号・2号・V3が奴等を引き付けている内に俺達も行くぞ。」 今も1号・2号・V3の三人が百合ショッカーライダーの軍団と激しい激闘を繰り広げている。 故に今の内に皆は先へ進むのだった。
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/1516.html
リリカルなのは Nightmare クロス元:舞-Hime 最終更新 08/01/27 プロローグ 闇夜に輝く凶星 TOPページへ このページの先頭へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3415.html
その為なのはのシールドは限界を超え無惨にも砕け散り、その身に何度も衝撃が走り膝を付いて苦しんでいると なのはの脳に一つの詠唱が浮かび上がり、痛みに耐えながらゆっくりと確実に立ち上がるや躊躇する事なくその詠唱を口にした。 「十戒の鼓動…喜死の召雷、幻妖の棲烈が齎せしは御滅による安息と知るがよい!!」 すると骸骨の頭上に光の魔法陣が現れ、其処から幾重にも光が降り注いで骸骨の身を貫いていき、それが終えたと同時になのはは右手を向けた。 「ファントム!デストラクション!!」 次の瞬間、骸骨は魔法陣に飲み込まれ暫くすると大爆発、周囲を眩しい光で包み込み、暫くして落ち着くと其処に骸骨の姿はなかった。 ファントムデストラクション、本来ではミリオンテラーを用いて放たれる光の広域攻撃魔法なのであるが、 なのはは神とユニゾンしている為に特別に使用する事が出来たのである、だが当然魔力の消費も激しい為、おいそれと扱える代物ではないが… それはさて置き、なのはのファントムデストラクションを目の当たりにしたレザードは威力もさることながら その広域攻撃魔法の正体を瞬時に理解した事により、苛立ちとも言える表情を浮かび上がらせていた。 「貴様のような小娘が…神の魔法を扱うとはな!!」 不届き…一言で表すのであればこれ以上の言葉が見つからない、それ程までになのははレザードの怒りを買っていた。 一方でなのはは自分の体の調子を調べ、まだイケると判断し構え始めレザードと対峙するのであった。 「なっ……何なんだ…この戦いは………」 一方此方はミッドチルダ宙域で待機しているクラウディアと、全地域からの情報が集うアースラを利用して戦況をモニタリングしているクロノ達の姿があった。 だがなのはとレザードの戦いは一同を驚愕させるどころか、フィクションなのではないのかと錯覚してしまうほどであった、それ程までに二人の戦いは常軌を逸していたのだ。 この時フェイトはゆりかごでなのはが言った言葉を思い出していた、…確かにこれ程の戦いに自分達が参加しても、ただ足手まといになるだけであると。 一方ではやては二人の戦いにおけるミッドチルダへの影響を懸念していた、二人の攻撃はあのドラゴンオーブの砲撃と大差無いと感じていたからである。 だが…だからといって二人を止める手立ては無く、更にレザードに対抗出来ているのは今のなのはしかいない…そう実感している時である、クロノの下にクラウディアからの連絡が届く。 その内容とは本局からの入電で、現在ミッドチルダ宙域に大規模な次元振の予兆を感知、 早急に手を打たなければミッドチルダは次元断層に飲まれ消滅すると言うものであった。 この次元災害は恐らくなのはとレザードの戦いによって引き起こされたものと考えられる、 だがこの場にいる全員で、もしくは全戦力にて二人の戦いを止めようとしても不可能、まさに無駄の一言である。 このまま滅びをただ待っている事しか出来ないのか…一同は奈落に突き落とされたかのような表情を浮かべている中、クロノが一石を投じる一言を呟く。 「…手が無い訳じゃないんだ」 場の沈黙を破るこの一言にクロノは説明を始める、十年前ジュエルシード事件のおり中規模の次元振が起きたことがあった、 その時提督であったクロノの母リンディは次元振の進行を抑えつけていた事があり、今回はそれを全員で行う事により進行を抑えつけるというものであった。 「しかもこの場には指折りの魔導師に騎士が複数いる、試してみる価値は十分にあるハズだ!!」 それに今ここで動かなければどのみち二人の戦いにより確実に滅ぶ、ならば少しでも次元振の進行を抑え、なのはがレザードを倒す事に賭けた方が無難であると。 するとこの場にいる更に通信を聞いている全員がクロノの案に賛同し早速クロノの指示の下、 機動六課メンバー、クラウディアチームを中心に魔導師達や騎士団達が一斉に移動または転送していき、 ミッドチルダ全域に広がるとアースラ及びクラウディアから齎された情報を基に魔法陣を張って一気に魔力を解放、次元振の進行を抑え始めたのであった。 管理局または教会騎士団が必死に次元振の進行をくい止めている頃、なのははレザードに対して肉弾戦を仕掛けていた。 なのはの持つレイジングハートは常にA.C.Sドライバーを起動させている状態に近く、先端の魔力刃も相応な威力を誇っているからである。 それにあの手の存在は肉弾戦を苦手としているハズ、かつての自分もそうであった為の決断であった。 だがレザードも負けてはいない、グングニルという強力な槍に周囲を飛び交う本のページも相当な威力があるからである。 それに神の力を得た為、肉弾戦においても十分な実力を発揮する事が出来るようになっていた。 そんな戦力の中でなのはは再度接近して魔力刃を左上に突き上げるように攻撃、レザードの左頬を掠めるが、 がら空きとなった腹部にレザードが右手に持つグングニルの突きが襲い掛かる。 しかしなのははすぐさま半歩下がりながらレイジングハートを下ろし柄を使ってグングニルを防ぎ、 更に前転して左のハイヒールによるかかと落としでレザードを蹴り かかとの鋭利な部分がレザードの右鎖骨に突き刺さるが、レザードは攻撃に耐えながら左手で抜き取りなのはごと押し飛ばすと、 本のページを飛ばしてなのはに斬り掛かる。 一方なのはは空中で体勢を立て直しレザードに目を向けた瞬間ページが次々に襲い掛かり、 一枚一枚がなのはの身を切り裂き頬に血が垂れるが動じる事無くレザードに押し迫り そのまま魔力刃で心臓を貫こうとしたところ、レザードはグングニルにマイトレインフォースを纏わせて魔力刃を防ぎ 更に右に薙払いなのはを吹き飛ばそうとしたが、前宙の形で防がれ頭上からなのはの魔力刃が振り下ろされるかに見えた。 だが既になのはの行動を予測していたレザードは柄を逆手に持ち替え切り上げて魔力刃を受け止めた。 なのはは歯噛みしながら一端距離を置き更に攻撃を仕掛け、接近するや否や何度も突き刺そうとしたが、 レザードは滑るようにして後方へ躱しつつ躱せぬ攻撃をグングニルで防ぎ、更にレイジングハートを引いた瞬間に合わせて振り上げなのはの胸元を深く傷つけた。 血が溢れ出し痛みも相当なものであるハズなのになのは臆する事なく、先程傷付けた右肩を狙って魔力刃を突き刺し 更にディバインバスターを発射させてレザードを吹き飛ばすが、 レザードも負けず吹き飛ばされ痛みに耐えつつもクロスエアレイドを放ち、なのはの両肩や腿を撃ち貫いた。 最早二人の攻撃には非殺傷設定などされておらず殺られる前に殺る…そんな骨肉の争いを続けていた。 そして瓦礫を背にして身を隠したなのはは深く傷つけられた胸元や肩腿などにフィジカルヒールを施し治療をしていた。 だがキャロやシャマル程の回復力は無い為、応急処置程度過ぎないのだが放っておくよりはマシである。 そんな治療をしている中で今までの戦いを振り返るなのは、此方の攻撃はレザードに通じているハズ…神とユニゾンした事によりアストラライズが可能となった。 だがレザードのポーカーフェイスは此方の精神力を著しく削る、何故なら今までのように効果が無いという不安感を掻き乱すからだ。 「そんな事は無い…絶対に通じているハズだ……」 それに余り時間も残されてはいない、ユニゾンには一定の時間が決められている、しかも今は神との強制的なユニゾン、 体に対する負担も半端ではない、だからこそ早急にレザードを倒さねばならない。 …迷っている時間はない、そう心の中でなのはは覚悟を決めると立ち上がりレザードを姿を確認すると対峙し始めるのであった。 一方でレザードはなのはの実力に舌を巻いていた、今まで二回ほど対峙してきたが、その中でもダントツの実力を誇っていた。 それは神とユニゾンしているから…最初はそう考えていた、しかし幾度か交えてなのはの気迫が尋常ではない事に気がつく。 恐らくは此処で全ての終止符を打つ覚悟で戦いに望んでいる、だがそれは此方にも言えた… 「巡りに巡る因縁…此処で決着を付けよう……」 アグスタ…いや本人は知るハズがないであろう八年前の撃墜事件からの因縁にケリを付ける、その為にレザード自らが封印していた魔法…それを用いる覚悟を決め レザードは飛び出し宙に浮くとなのはが瓦礫から姿を現しその姿を見据えながら対峙した。 「頃合いでしょう…」 「そうね…」 お互い覚悟を決めた表情を浮かべ対峙していると、先になのはが動き出しレザードの懐に入るや否や右のインパクトキャノンをレザードの頭部目掛けて撃ち抜いた。 だがレザードはその場から動かずなのはの攻撃に耐えていると続けてアクセルシューター更にショートバスターを撃ち放つ、 しかし尚もレザードは攻撃を耐え続けており、不安感を抱く表情を浮かべるなのはであったが、 逆にチャンスではないかと発想を変えてレザードの胸元目掛けてディバインバスターを撃ち抜く、すると――― 「カオティックルーン!!」 レザードはなのはのディバインバスターに耐えながら左手をなのはに向け足下に魔法陣を張ると、 魔法陣は一気に広がりを見せてクラナガン全地域は、環状の魔法陣が帯のように幾重にも張られているドーム状の結界に包まれた。 カオティックルーン、レザードが自らの意志で使用する事を禁じた魔法の一つで、この結界にいるだけで身体能力を20%減少させる結界魔法である。 その効果によりなのはの身体能力は低下、何かが全身にのし掛かっているのような…まるでかつて施されていた能力リミッターと同じ感覚を覚えていると、 目の前にいるレザードがグングニルを振り下ろしなのはは地面へと叩きつけられるが、そしてゆっくりと立ち上がりレザードを睨み付ける。 「この程度で…私を倒せるとでも―――」 「まだ、この程度で終わるものか!スペルレインフォース!!」 次の瞬間レザードの足下に黄色の魔法陣が現れ、レザードを黄色く照らし始めると、レザードの体から溢れる白金の魔力が更に輝き出し周囲を照らし始める。 スペルレインフォース、レザードが自らの意志で封じた魔法の一つで、魔法陣内に存在する者の魔力を1.5倍に高める切り札であり、 レザードにとっての希望の一手、この世界にとっては絶望の一手とも言える支援魔法である。 だがレザードの魔力強化はそれだけでは終わらなかった、今度はレザードに向かってまるで流星のように魔力が集まり強化していく、 その光景になのはは目を丸くする、何故ならばそれはなのはが良く知っている方法で魔力を集めているからだ。 「まさか…私の収束技術を!!」 「フフフッ貴様にとってこれほどの屈辱はないだろう!!」 地上本部での戦いの折になのはが見せた収束技術を用いて魔力を高め、更にそれによってミッドチルダを崩壊させる。 この収束技術こそ、この世界で収穫した技術の中で最高の利であり、またなのはの技術を使わざるを得ないと言う最悪の害でもあった。 それ程までプライドの高いレザードが使わざるを得ない相手、なのはは其処まで強くなりまた、驚異と感じていたのだ。 「だが…それももう終わる!」 するとレザードは右手を天にかざし魔力が右手を介して天を貫くと、詠唱を始める。 「我招く無音の衝裂に慈悲は無く!」 辺りはレザードが放つ光に包まれなのはは右手で光を抑えながらもレザードを睨みつけていた。 そしてレザードから放たれた光は次元海にまで及び、続いて光を中心に移送の魔法陣が7つ張られ光が伸びていた。 「汝に普く厄を逃れる術も無し!!」 すると魔法陣から直径数百メートルの隕石を呼び出す、スペルレインフォースに収束技術を用いた魔力強化により 本来の大きさの隕石より巨大な隕石を召喚する事が出来たのだ。 そんな巨大な隕石の一つが引き寄せられるようにしてミッドチルダに落下、なのはの下へ迫っていた。 「この世界ごと消滅するがいい!メテオスウォーム!!!」 曇天の空を打ち破るように巨大な隕石は真っ赤に燃えながら迫っていた。 その光景を目の当たりにしたなのははカートリッジを全て消費、自身にオーバルプロテクションを張り、 続いて目の前に自身最大の直径数十メートルあるラウンドシールドを張り攻撃に備えた。 そしてシールドと隕石が接触した瞬間に爆発、激しい爆音と共に衝撃波が走り、なのはの周囲を吹き飛ばし高速道も薙ぎ倒した。 だがそれだけには止まらす衝撃波は尚も広がりを見せて海岸線に到着、大波を生み出し海は更にうねりをあげ始めた。 そうこうしている内に二発目が直撃、先程と同じ規模の衝撃波が走り更には大きなクレーターが形成、 続いて三発目が直撃するとクレーターに巨大な亀裂が走り、その亀裂は地割れとなって周囲の倒壊した建物などを飲み込んでいき、 四発目には地割れは更に悪化、しかも海では津波が発生し海岸線は壊滅的な被害を被っていた。 場所は変わり此処は首都クラナガンから南方に位置する海上上空、周囲には次元振の進行を止める為に局員が必死に行動しており、 その中心ではクロノがモニターを通し二人の戦いを観察しつつ同じく次元振の進行を必死に阻止していた。 現在ミッドチルダ全域には管理局魔導師及び教会騎士団が陣を張って次元振の進行を抑えており、 二人の戦いに局員達を巻き込まれないよう注意・指示を送っていたのだが、その考えは既に終わりを告げていた。 レザードの放つメテオスウォームの威力はクロノの予想を遙かに超えた威力で、最初の一発目でクラナガン付近で陣を張っていた局員達は全滅、 そして二発三発と続き四発目の際に生じた津波においては、クロノとその周囲は難を逃れたのだが、他の局員は波に飲まれて姿を消し去ったのだ。 「悪夢だ……」 夢なら覚めて欲しい…そう心底思いながらモニターに目を通すクロノ、このまま局員達の数が減り続けば次元振が起きる可能性が高い、 いや…事態はもっと深刻である、レザードのメテオスウォームによる影響によりミッドチルダの地軸が歪み始め先程まで微弱だった揺れが大きくなってきているのだ。 その直後である、五発目の隕石が直撃し地軸の振動に更なる激しさが加わり、レザードが岩肌を顕わにした山岳地帯が音を立てて崩れ落ち、 近くで作業を行っていた騎士団の連中が山崩れに巻き込まれその光景をメルティーナやルーテシアが目の当たりにして思わず目を背けた。 そして六発目が直撃すると、西地区上空では衝撃波に巻き込まれバラバラになった魔導師が雨のように降り落ち、 その雨の中で必死に進行を押さえつけようとしているエリオとキャロ達、 地上東地区ではスバルの目の前で建物が倒壊、近くにいた騎士団を押し潰しスバルは作業を中断して助け出そうとしたが、 今回の作戦の要である事を自覚させるようにティアナが説得、苦しみ後ろ髪を引っ張られているかのような表情を見せながらも作業を続ける姿があった。 一方北地区ベルカ領で作業しているはやては空を見上げていた、上空には黒い雲、海は荒れ狂い、山は崩れ、森は激しく音を立てて燃え続け、町並みは潰れていった… 局員達も疲弊している、それは機動六課の面々も例外ではない、だがレザードのメテオスウォームは まるで世界を繋ぎ止めようとしている軛を外そうとしているように思えた、それ故か小さくぽつりと言葉を口にする。 「終焉ってこんな光景を指すんやろうな……」 誰もが絶望するであろうこの状況、しかし局員達の目にはまだ敗北の色を宿してはいなかった、 何故ならば彼等の前にあるモニターには、攻撃を耐え続けているなのはの姿が映し出されていたからだ。 今も尚なのはは戦い続けている、決して諦めず不屈の意志、心で… それが彼等の支えとなりまた、支えようとする意志となっているのだ、だからこそ諦めない! はやては弱気になりそうになった自分を恥じるように、頬を強く叩くと気合いを入れ直して作業を続けるのであった。 一方終焉を演出している発端では六発目の隕石に耐え抜いているなのはの姿があった、 …しかし張られているシールド・バリアには亀裂が走りなのはも立っているのがやっとと言った様子を見せていた。 だがメテオスウォームは七つの隕石で攻撃する広域攻撃魔法、後一つ耐え抜ければ此方に勝機が見えるとなのはは判断していた。 一方レザードはなのはの様子を確認後、右手を高々とかざし見下ろすような目線でなのはに語りかけていた。 「貴様の仲間が必死になって次元振を抑えているようです、健気だと思いませんかぁ?!」 だがそれも無意味になる…レザードの意味深な言葉を合図に頭上に存在する雲から直径数キロの、今まで類を見ない程の巨大な隕石が姿を現し息を呑むなのは。 レザードはこの世界ごとなのはを消し去ろうとしている、結界これ程の大きさの隕石でなければ不可能であると判断した為だ。 「貴様ごときになぁ!我を倒す事などなぁ!!不可能なのだよ!!!」 そう言ってかざした手を振り下ろし、隕石は加速を続けながらなのはと接触、今までとは比べ物にならない程の大爆発を起こし 生まれた衝撃波が土煙と混ざり合って走り海を越えると大津波を作り出しまた 衝撃波自体も山や森を吹き飛ばしながらミッドチルダ全土に響き渡った。 その為、作業を行っていた騎士団及び局員達は為す術なく衝撃波、もしくはそれによって引き起こされた災厄に飲み込まれ、 この未曾有の災害の発端となった地クラナガンは、建物の残骸は砂地と化し草木すら生えそうもない更地と言う名のクレーターとなって消滅したのであった。 「フフフ…フハハハハハハハハハ!!!」 この地で響き渡るのはレザードの笑い声のみ、既に勝利は確信しており、そろそろこの世界も終わりを告げるであろうと考えていると 辺りに響いていた振動が小さくなっていることに気がつく、だが世界崩壊への予兆だろうと考えていると体に不調を感じた。 「くっ!やはり…やりすぎましたか……」 いくらレザードが神の肉体と魔力を持っているとは言え先程のメテオスウォームは十分にレザードの体力を削るものであった。 だが憂いであったなのはを消し去る事が出来た以上、問題はないだろうそう判断した時――― 《Restrict.Lock》 突然の電子音が耳に入るや否や体中を桜のバインドで縛られ、それを行った正体がブラスタービットであると分かった瞬間 更地の一部が盛り上がり其処から右の袖が半袖左に至っては肩から失った上着に、 スカートも左の部分膝まで失い更に腰までスレットのように破れたバリアジャケットを羽織るなのはの姿があった。 「ありがとうレイジングハート」 《No.problem》 「貴様…あれに耐え抜いたと言うのか!!」 流石のレザードは驚愕の表情を隠せないでいると、なのはは一歩前に出てレザードを睨みつける。 …自分一人では耐えきれなかったかもしれない、だがあの時自分を応援してくれる仲間の声が聞こえた、 それを聞いたから自分の心は折れる事もなく、また守られ支えられた為にレザードの攻撃にも耐え切れたのだと、凛とした表情で答えた。 「バカなっ!そんな事が!!」 「あなたには分からないでしょう」 人を蔑み他人を見下し他者を踏み台にし自分しか賞賛しない…そんな性格の“人間”では一生理解する事は出来ないであろう。 当然レザードはなのはの言葉に耳を貸さなかった、他人の思いが自分を強くするなどありえるハズがないのだと自負しているからだ。 「たとえ貴様がそうであっていたとしても、この崩壊した世界では無意味だ!見ろ!!」 人と呼ばれた存在はいなくなり、文明も消滅したと言っても過言ではない程に崩壊している、 恐らくこの世界で存在しているのは自分と貴様のみ…そんな世界の中で貴様の戯言が通じるハズがない、 レザードはバインドに縛られたままであってもなのはを挑発していた。 「…私はみんなが生きているのを信じる!」 「現実を見よ!この荒廃した世界を!貴様の役目は終わったのだよ!!」 《―――まだ終わっていない!!》 突然の通信に驚くなのは、それがユーノであった事に気が付くとユーノの言葉の真意を確かめる、 なのはが必死に攻撃を耐え続けている頃、ユーノはクラウディアに赴きあるプログラムを配信したという。 それは無限書庫に存在する石のエネルギーをクラウディアの魔導炉で増大させてから使って攻撃を防ぐというものである、 だがこの作戦は石自体を犠牲にしなければならない、当然その中に含まれる情報も失われる事も指す。 しかし司書長であるユーノは人命救助を優先にして石を提示、起動させて見事みんなを守ったのだという。 するとなのはの下に次々に連絡が入る、フェイトを筆頭にはやて・スバルやティアナ、ヴィータ、シグナム、シャマルに ザフィーラを真ん中に置き右にエリオに左にキャロと機動六課メンバーが次々に連絡を送り最後にはクロノの姿もあった。 「なのは、後は頼んだ!」 「任せて!!」 みんなからの連絡を受けて元気を取り戻したなのはは、そのままレザードを見上げレイジングハートを向ける。 「今度は…こっちの番!!」 そして一歩前へ踏み出すと足下に巨大な三角形が三つ均等に並ぶ桜色の魔法陣を張り巡らせ更に目の前にも同じ魔法陣を張り巡らせる、 続いて背中の六枚の翼が巨大化して更に足元のくるぶし辺りにある翼は地面に突き刺さっていた。 すると目の前の魔法陣に桜色の魔力が集い始める、だがその光はなのはの周囲だけではなかった、 北地区、南地区、東地区、西地区と次々に使用された魔力がなのはの下へ向かい、ドラゴンオーブが放たれた場所からも魔力が集い始めミッドチルダ全土の魔力が集った。 その為に収束された魔力は魔法陣の面積を大きく越え更に環が出来ており、まるで土星を彷彿としいた。 …そして完成された魔法を前になのははレイジングハートを大きく振りかぶる。 「全力!全開!!スターライト……ブレイカアアアアァァァァ!!!」 渾身の力を込めて放たれたスターライトブレイカーは容易くレザードを飲み込み巨大な直射砲となって天を貫き次元海に到達、更に上昇して二つの月の間を通り過ぎていった。 そして地上では撃ち放たれたスターライトブレイカーの影響により雲が晴れ、夜空や二つの月が垣間見え、 二つの月の間から桜色の光を確認、するとその延長上に黒い物体を発見し、黒い物体は静かに地上へと落ちていった。 一方でなのはは勝利を確信した様子を浮かべるが、体に掛かる負担により、膝を付きレイジングハートを支え棒に肩で息をしていた。 すると其処にグングニルを杖にして近付くレザードの姿があった、どうやらここまで歩いてきた様子である。 そしてなのはを睨みつけるとグングニルを大きく振りかぶり、なのはに向かって突き刺す構えを見せた。 「貴様のような小娘に…我が力が負けるハズがないのだ!!」 そして振り下ろされたグングニルはなのはの腹部に迫り貫く…ハズであった。 だがグングニルはなのはに触れる手前で崩壊した、流石のオリハルコンも威力に耐えきれなかったようである。 この結果に歯噛みし苦虫を噛んだ表情を浮かべる中でなのは凛とした表情でレザードを睨みつけ一言告げた。 「いくら貴方が世界を滅ぼす力を持っていても…私の心を折る事なんて出来ない!」 「なんだと?!」 「心は…魂から生み出されるもの…だから心を支配出来る存在なんて何処にもいないんだから!!」 それはこの体になった事でハッキリ解ったことがあり、力で魂を支配する事が出来ないように 力で心を屈服させる事など出来はしない、心は心で魂は魂とでしか触れ合うことが出来ないと… そんななのはの言葉を聞きレザードはある二つの影と重なる、それはかつて自分と対峙した王女、そして自分が愛した愛しき者レナスである。 自分がこの世界に来る間際に放たれた言葉の意味、恐らくこれが答えなのだろう… だから他者が所有する事が出来ない、たとえ世界を滅ぼす力を持っていても、神の力とは万能では無いのだから… レザードは全てを悟った瞬間、体が青白く光り出しまた少しずつ光の粒子と化していた。 それはレザードが全てを受け入れた意味であり、そして全てが終わりを告げる合図でもあった。 「私の…負けです……」 静かに…だがハッキリとした口調で敗北を宣言すると、レザードの体は加速度的に粒子化していき、その中で振り返るようにして目を瞑る、 …悪くない人生であった、自分の本能に任せたまま、やりたい事を好きなだけ行った、だが…惜しくらむは初恋の存在を手中に収める事が出来なかった事ぐらいか… だがそれでもレザードの心は晴れた気分であった、恐らくそれは心から悟り死を受け入れたからであろう。 レザードは自分の意志が微睡みの中に溶けていきながら広がっていく死の感覚を堪能していると、 体は完全に光の粒子となり静かに音も無く崩れ去り消滅したのであった。 レザードの死を見届けたなのはは、緊張が抜けたのかその場に座り込む、すると体が輝き出し光と共に二つの魂が解放される。 その時である、なのはの周囲から転送用の魔法陣が現れ其処から次々に機動六課のメンバーが姿を現す、その中にはユーノの姿もあった。 「ユーノ…」 「なのは…お疲れ様」 ユーノはなのはに近付き手を差し伸べるが、どうやら体が思うように動かないようで差し伸べられた手を触れるだけで止めるなのは。 するとなのはの状態を察したユーノは膝を付き、なのはと同じ目線に座る中で二人は流浪の双神に目を向けた。 「有り難う流浪の双神…」 「我等は力を貸したに過ぎない、奴を倒したのはなのは、貴方の“不屈の心”よ」 イセリアクイーンは優しい笑みを浮かべながら激励を送ると、続いてガブリエセレスタが言葉を交わす。 今回の戦いによりミッドチルダの地軸はズレたまま、今は崩壊前の予兆として静かであるがすぐさま崩壊が始まるであろうと。 其処で流浪の双神が力を使って地軸だけでも修復するという、流石にあれだけの戦いを行った為、 かなりの力を消費してはいるが地軸を修復するぐらいであれば可能であると告げられた。 「お願い出来ますか?」 「あぁ、任せておけ」 ユーノの言葉に力強く答えると早速流浪の双神は足下に魔法陣を張り右手で触れる、 すると魔法陣から一筋の優しい光が延び地面と接触すると地上全体が光に包まれ、そして暫くすると 光が落ち着き始め一同は辺りを見渡すと全土を覆っていた灰色の雲は晴れ、荒れていた海も落ち着きを取り戻していた。 「では我等は行く、もう…会う事もないだろう」 「…さようなら、我等を従わせた強き心の持ち主達よ……」 流浪の双神は軽く別れの挨拶を交わすとそれぞれ赤と青の光の玉に変わり上空を上っていき暫くして音も無く消えていった。 それを見上げながら本当に全てが終わったのだと実感し始めるなのは達であった。 暫くしてユーノはなのはの左肩に手を回し、続いてフェイトが右肩に手を回して優しく立ち上げると 東の空が徐々に明るくなり始め夜明けが近いことを告げていた。 「なのは、夜明けだよ…」 「うん、とっても綺麗だね…ユーノ」 「これは…この風景はなのはが守った景色なんだよ?」 「うん…ありがとうユーノ、そして―――」 「…なのは?何か言った?」 ユーノの問い掛けに小さく首を振るなのは、そして朝日を見つめ笑みを浮かべていた。 一方でクロノは朝日を眺めながらこれからの事を考えていた。 「…これからが大変だ」 ミッドチルダの再興、管理局の立て直し、魔法に対する対策など問題は山積みであるとクロノは朝日を見つめながら話し、 その言葉にはやては頷き他のメンバーも同じく頷いていた、そしてフェイトはなのはに目を向けながら言葉を口にした。 「頑張ろうね、なのは―――」 だが…なのははフェイトの言葉に一切反応せず、眠りについたかのように瞳を閉じていた… しかし…なのはの表情は安らぎに満ち溢れており、優しい笑みを浮かべたままであった……… 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/204.html
前ページ次ページなのはクロスの作品集 時間が無いので、事態が沈静化したところからお送りいたします。 ユーノ 「こほんっ、無限書庫の闇の諸関連の本を全て漁ってみたんだけど、残念ながら暴走を止める方法はわからなかったよ」 シグナム「すまない。結局お前の案に頼ることになりそうだ」 シン 「しかたないさ(最初からそれほど期待してなかったからな)」 もしも無限書庫を探したぐらいで方法が見つかったなら、未来の世界でリインフォースは死んではいなかったはずだ。 あんな身近な場所を(仕事においては)切れ者であるリンディ提督が見逃すはずは無い。シンにとっては、念のために確認しておくか、ぐらいの気構えだった。 ザフィーラ「ではシン、そろそろ具体的な方法を聞かせてもらおうか?」 シン 「ああ、用は自動防衛プログラムの再生を遅らせればいいんだろ。なら、話は簡単だ。闇の書の中に入って直接そいつを破壊すればいい」 シャマル「闇の書の中に、って・・・」 全員「「「「え、ええぇぇ~~~~~!!!!!」」」」」 シンの言い出した作戦は、なのは達の度肝を抜き、ヴォルケンリッターを驚愕させた。 自動防衛プログラムがこちら側に呼び出せないなら、自分達で闇の書の中へ乗り込もうというのだ。 一見乱暴な理論に聞こえるが、時間の無い現状ではこれが一番手っ取り早く判りやすい。 なのは「そ、そんなことできるの?」 シン 「闇の書の特性にリンカーコアを持つ生物を『収集』する機能があっただろ。あれを使って内部に入り込む」 ヴォルケンリッターはリンカーコアだけを抜き出すことで、対象を闇の書に直接『収集』することは無かったが、本来は闇の書内部に丸々取り込むことも可能である。前の戦いにおいても、戦闘中にフェイトが闇の書に取り込まれる事態が発生している。 ヴィータ「ちょっと待てよ、シン。そもそもお前にはリンカーコアがねーだろ!」 シン 「ああ、それなんだけどな。どうやら、デス子とユニゾンしたときだけ、リンカーコアが発生するらしいんだ」 これは少なからず、古代ベルカの時代から存在していたヴォルケンリッターに衝撃を与えた。 自分達の薄れかけた記憶をたどってみたが、そんな話は聞いたことが無い。それならば、デス子と名乗る摩訶不思議なユニゾンデバイスは一体なんなのか? シャマル「そんな・・・リンカーコアがない人間が魔法を使えるようになるなんて・・・。(古代ベルカでもそんな技術はなかったはずなのに・・・それ になぜリインフォースとの戦いのことを細部まで知っているの?彼は一体・・・?)」 シャマルはシンに悟られないように、リインフォースにそっと念話で連絡を取る。 シャマル(リインフォース、あなたは彼の素性について何か聞いてないの? ) リインⅠ(いや、話してくれた以上のことは何も・・・。私も今回の事件が終わったら、聞かせてもらおうと思っていた。だが、まだ止めておこ う) ザフィーラ(奴が何者かなど、今はたいした問題ではない。我々は主はやての信じた人間を信じるだけだ) 守護騎士達にはそのやり取りだけで十分だった。 シンが裏表の無い人間なのは、一緒に暮らしていた彼女達が一番よく知っている。 彼が自分から話してくれないのは、それなりの理由があるからだ。あえて言葉に出さなかったが、誰もが心の中で納得していた。 アルフ「というかデス子は本当にユニゾンデバイスだったんだ!?」 デス子「もちろんです! いったいなんだと思ってたんですか! この作戦で汚名返上です! これからは食ってばかりの駄目デバイスなんて言わせませんよ! (そして、ご褒美に翠屋のシュー・ア・ラ・クレムをおなかいっぱい・・・ぐへへっ)」 デス子は誰に言うわけでもなく自身の決意を叫びだしたかと思うと、自身の妄想に浸り始める。先程からしきりにヨダレをぬぐっているから、どうせまた食べ物関係だろう。ちなみに、駄目デバイスの自覚はあったのか、と全員が思ったのは言うまでもない。 シン 「まぁ、こいつはいろいろ規格外だからな。(元人型兵器だし、中に正体不明のロストロギアも入ってるし)」 フェイト「でも、『収集』ではいるってことは『夢の牢獄』に囚われることになるよ。シンお兄ちゃんを信じてないわけじゃないけど・・・あの場 所は・・・・」 それこそ一番の問題だった。取り込んだ生物を無力化するための『夢の牢獄』は、心の傷が深ければ深いほど取り込まれやすくなる。 おまけに今回はタイムリミット付き、なんとか呪縛から逃れても防衛システムが再生すれば本末転倒だ。 シン「心配要らないさ、フェイト。俺の場合は、デス子と分離すればリンカーコアも消滅するし、そうなれば異物として『夢の牢獄』から弾き出 されるはずだ。あとは闇の書の闇を発見して破壊すれば終了だろ」 シンは安心させるために頭を撫でるが、フェイトの不安は消えていないようだ。 確かに不安要素は多い。『夢の牢獄』についてはフェイトだけしか体験しなかったため、あまりに情報が少なすぎる。 しかし、フェイトに涙目で上目遣いをされては、リンカーコアが消滅しても、『夢の牢獄』から出られないかもしれないとはとても言いだせなかった。 シャマル「・・・え、まさか、シン一人だけで闇の書の中に入る気ですか!」 ヴィ-タ「冗談じゃねぇぞ! たった一人で自動防衛プログラムを破壊なんてできるわけねぇだろ! アルカンシェルまで持ち出してようやく倒 した化け物なんだぞ!!」 焦りだすヴィータたちを尻目に、シンは厳重にケースに保管された赤い結晶を取り出した。 素人ならば唯の大きな宝石に見えただろう。だが、ここにいる人間にはソレがどれだけ危険なものか本能で理解できた。 シン 「そこでクロノから借りた(貰った)こいつの出番だ。レリックという名の超高エネルギー結晶体で、こいつを使えば、いくら自動防衛プ ログラムでも粉々に吹き飛ばせる・・・・はずだ」 なのは「でも、そんなすごいものを闇の書の中で爆発させたらリインフォースさんが・・・」 リインⅠ「私なら大丈夫だ。もともと闇の書は強大な魔法を収集するために作られたもの。そのくらいの魔力なら問題ないだろう」 レリックをその程度扱いとは、つくづくとんでもないロストロギアだ。 まあ、街の大半を破壊しておいて、まだ、本格的な暴走が始まってない、などと言い出すのだから始末におえない。 最初に作った人間はおそらく相当の天才だったのだろう。 リインⅠ「それより、シン。聴きたい事があるんだが」 シン 「なんだよ、俺が話せることは大体話したと思うけど・・・」 リインⅠ「主はやてのリンカーコアが元に戻るまで、一年は掛かる。『収集』で内部に入ったとして、お前はどうやって闇の書から出る気 だ?」 なのは 「え、どういうこと!!」 シャマル「なのはちゃんとフェイトちゃんを足したくらいの莫大な魔力を持ってないと、闇の書からの脱出は不可能なのよ。 いえ、例えあったとしても、夜天の書の主であるはやてちゃんのサポートがないことには・・・・」 それこそが、シンが一人で向かうといった本当の理由だった。 確かに皆で行けば生存率、成功率は上がったのだろうが、自動防衛プログラムを倒したとしても、 闇の書から脱出が出来なければ唯の自殺行為にすぎない。 ちなみに、ユニゾンによって魔法が使えるようになっても、シンに生まれる魔力はせいぜいC-。(エリオにもボロ負けしたし・・・) そんな貧弱な魔力では、はやてのサポートなしで闇の書からの脱出は不可能だ。 ヴィータ「まさか、死ぬ気じゃねえだろうな、シン!! だとしたらお前を生かせるわけにはいかなねえぞ!!!」 リインⅠ「私をあれだけ引き止めておいて、今更自分が消えるなどと言い出してみろ。 私はこの身が消えることになっても、全力でお前を止める!」 リインフォースの言葉を皮切りに、シン以外の全員が騎士甲冑やバリアジャケットを装備し、デバイスをシンに向けた。 ヴィータなど、既にカートリッジリロードを済ませている。 シン「し、心配しなくても大丈夫だ。方法はちゃんとあるから、絶対に生きて帰ってくるって!」 ヴォルケンリッター達の殺気立った視線を、シンは目を逸らさずに(冷や汗をかきながら)真っ直ぐ見返した。 あえて言わないがすさまじく怖い。方法が無いなんて言ったら、その場で再起不能になりそうだ。 そう思わせるだけの殺気がシンに向けられていた。 シグナム「・・・・・嘘はついていないようだな、安心したぞ」 そう、脱出の手段はある。だが、それは時間跳躍システムによる十年後への再転移によってだ。 時間を見積もっても、あと一週間はかかるはずだったが、色々調べた結果、 ご都合主義的に、スカリエッティが緊急時の強制再転送システムを組み込んでくれていた。 未練がないとはいえないが、どの道いつかは戻らなければならないんだし、 リインフォースを救って未来に凱旋するのも悪くない。 それと、もう一つ話しておくことがあった。 シン「あ、リインフォース。少し話があるんだけど・・・」 リインⅠ「なんだ?」 シン 「・・・定時までに戻らないようなら、さっき言ってたとおり、俺ごと闇の書を破壊してくれてかまわない」 リインⅠ「・・・お断りだ。弱音を吐くとはお前らしくないぞ?」 シン「ごめん、だけどさすがに今回ばかりは・・・・」 リインⅠ「シン、私もこの計画が成功すると信じている。一緒に八神家に帰る約束、忘れていないだろうな?」 シン「・・・そうだったな。少し弱気になってたみたいだ。(ここまで来て、後戻りはできない。絶対に成功させないと・・・)」 負けられない戦いを前に、シンはあの穏やかだった八神家での生活を取り戻す決意と、自身の全てをかけて戦い抜く覚悟を決めた。 『収集』の準備が整い、装備の最終点検をするシン。 持っていくものはできるだけ少ないほうがいいのだが、相手は精鋭が十人がかりでようやくしとめた化け物だ。 なのは達は今持っている物の中から役に立ちそうなものを選び、シンに手渡した。 ユーノ「これは小型のデバイスみたいなもので、いくつか魔法が登録してあるから魔力をそそげばオートで発現するよ。 まあ、本当はロストロギアなんだけど僕にとってはお守りみたいなものだから。」 シン「でも、そんな大事なもの本当に貰っていいのか?」 なのは『あげるんじゃないよ、貸すんだけだよ。あとで絶対ユーノ君に返してね」 そう言われても返すのは十年後になるのだから、どちらかといえばユーノのほうが忘れていそうだ。 苦笑いを浮かべるシンを見て、なのは達は不思議そうに顔を見合わせた。 ヴォルケンリッターからは魔力カートリッジをあるだけ貰った。 シグナム「我々全員分のマガジンだ。少しは魔力の足しになればいいんだが・・・」 ヴィータ「唯でさえ、キケンな戦いなんだ。装備だけでもしっかり整えておかねぇとな」 シン 「気持ちはありがたいんだが、さすがにこんなには持ってけないだろ!」 シンの目の前には魔力マガジンが山のように積まれている。 冗談ではなく、どこからこんなに集めたのかってくらいにマガジンの山ができているのだ。 シャマル「風呂敷に包めば問題ありませんよ。ほら、こんなに簡単♪」 シン 「ど、どんだけ・・・。じゃなくて、機動力も下がるし6,7個で十分だよ」 懸命に断ってなんとか諦めてもらったが、三人ともあからさまに残念がっていた。 天然の恐ろしさを改めて実感したシンであった フェイト「あの場所は本当に人の心を引き付けるから、何があっても夢だってことを忘れないで必ず帰ってきてね! 確かに夢は心地いいかもしれないけど、終わってしまった過去は変えられないんだから・・・」 シン 「だからそんな心配そうな顔するなって。帰ってきたら、またどこかへ遊びにつれてってやるからな」 フェイト「・・・・・うん、今度は海に行きたい。もちろん二人っきりでね♪」 シン 「・・・・さすがにそれは勘弁してくれ」 誰のものかはわからないが、背中に突き刺さっている幾多の圧迫感が「私も連れてって」と恨みがましく告げていた。 リインⅠ「この前と違って戦いの場は闇の書の中だ。おそらく奴の戦闘力も大幅に上がっているはず…。 例えお前が失敗しても、ここにいる誰もお前を責めはしない」 ザフィーラ「・・・・どんなことがあっても、必ず生きてもどれよ。リインフォースとお前を同時に失えば、あの主でも発狂しかねん。 多少心は強くても、いまだ、九歳の女の子なのだ」 シン「わかってるさ、できるだけ早く帰ってくる」 前に資料として戦闘データを見せてもらったときがあったが、あの化け物は半端じゃない。 四つ重なった物理魔法混合結界に、おそらく主力魔法だろう広域殲滅魔法。そして、幾多の魔導師達を絶望させた、ほぼ無限の自己再生能力。 例えレリックを使うとしても、困難どころかほぼ不可能に近い成功率だ。 (試しに計算してみたが、0が小数点の後ろに6つ並んだ時点で電卓を投げ出した) だが、どんなに希望のない状況でも、リインフォースを救えなければきっと俺は俺が許せなくなる。 大切な人たちを守れずに、何度も何度も後悔と懺悔を繰り返してきた。 それも今日限りだ。俺はリインフォースを救って前に進んでみせる! シャマル「準備は完了しました。いつでも行けますよ」 デス子「行きましょうか、マスター(これで皆さんともお別れですね)」 シン「それじゃ行って来る。(さよならだ、十年後にまた会おうみんな。その時はリインフォースも一緒だ)」 シンとデス子は闇の書の光に消えていった。 どれだけ時間がかかっても、必ず帰ると心に誓って・・・。 君たちに最新情報を公開しよう。 大切な人達を失った運命の日から数年。 シンの前に再び選択のときが迫る! 逃れられない過去、失った絆、そして現われるマユ・・・。 自動防衛プログラムが復活したとき、はたしてリインフォースの願いは彼に届くのか? 次回、GUNDAM PARUMA DESTINY 『夢の牢獄』 君もこのスレで、エクストリームブラスト承認!」 さあ、嘘設定はどれでしょう。 目が覚めると俺は自分のベットに寝転んでいた。おかしい。ユニゾンしていた筈なのに、いつの間にか服も私服に変わっている。 ・・・・・・自分のベット? 身の毛がよだつような感覚に、俺は急いで起き上がると見覚えのある部屋を見回した。 (・・・俺の・・部屋? ・・・だってあの日、俺の家は燃え尽きて・・・・) ここが二階であることなどまるで考えずに、ベランダから外に飛び降りた。 落下の勢いを殺すために回転着地を決めて、服が汚れるのも気にせず上を向く。 庭(そこ)から見上げた光景は、俺にとって信じがたいものだった。(そんな・・・これが俺の望んだ世界・・・) 何年も忘れていた、忘れようとしていたアスカ家が、そこにあるのが当たり前であるかのように悠然と建っていた。 これは・・・本当に夢なのか? いつも家族で過ごしていたリビング、母さんが料理を作りマユがソレを手伝っていた台所、 俺や父さんがよく寝転んでいたソファー。家と共に燃え尽きてしまった懐かしい思い出が次々と俺の中に蘇ってきた。 全てがあの日のままだ。みんなが逝ってしまった、あの時の・・・。 分からなくなってきた。これが・・・夢? 本当は、こちらが現実だったんじゃないのか? オーブは焼かれないで、母さんと父さんとマユとみんな一緒に平和に暮らして アレは全部俺の妄想で・・・本当は戦争なんて最初から・・・。 マユ「お兄ちゃん? 起きたの?」 シン「えっ、マユ? 本当にマユなのか!」 ドアを開けてリビングに入ってきたのは間違いなく死んだはずの俺の妹、マユだった。 通りすがりの女子中学生を見て、何度考えただろう。生きていたら13歳、ちょうどあんな感じだったのかと・・・。 マユ「な~に、お兄ちゃんまだ寝ぼけてるの? もう私の入学式は終わっちゃったよ」 シン「入学・・式? ・・・そうか、もう中学生だったな。制服もよく似合ってるよ」 マユ「ふふっ、ありがと?」 ああ、そういえば、今日は入学式だったな。 ずいぶん背も伸びたな、もう母さんと並ぶくらいにまで成長してる。もっとも俺や父さんに比べれば、まだまだだけどな。 マユ「朝ごはんは食べたの? 買い物に行ったお父さんもお母さんもカンカンだったよ?」 シン「あ、ああ、そうなのか? 入学式に行けなくて悪かったな、マユ」 マユがここに居る。一緒に喋って、一緒に笑って、もう一度同じ時間を過ごせる。 そう考えると今までくだらないことを考えていた自分が馬鹿みたいに思えた。何を馬鹿なことを考えてたんだ。俺の居場所はここ以外にないだろ。子供じゃあるまいし、魔法なんてあるはずがない。あれは夢だったんだ。 ははは、馬鹿みたいだな、まったく、この年になってまるでゲームみたいな夢を・・・。 マユ「もう! 近所のステラお姉ちゃんとレイお兄ちゃんも来てくれたのに、お兄ちゃんだけは全然起きないんだもん」 シン「・・・・・あ」 その一言が、俺の中の何かを粉々に打ち砕いた。 俺が守れなかったせいで死んでいった二人が、オーブに居るはずがない。心に焼きついた凄惨な記憶が、俺に何もかも思い出させた。 マユ「さ、皆のところへ行こう? みんなお兄ちゃんを待ってるんだよ」 俺はマユが伸ばしてくれた手を、乱暴に振り払った。 そうでもしないと飲み込まれそうだった。何も考えず、何の不安もなく夢を見ていられた・・この懐かしい幸福に・・・。 マユ「お兄ちゃん?」 シン「・・・・・・やめよう、マユ。俺がマユに会っていいのは思い出の中だけなんだ」 マユ「・・・・・お兄ちゃん、どうしてそんな悲しいこと言うの?」 シン「マユ達と一緒にそっちにいけば、俺は俺を待ってる守りたい人達を守れなくなる!それに、俺はそっちに行っちゃいけない!行っていいは ずがないんだ!!」 今でも夢に見る、マユや父さん母さんが死んだときのことを。 ステラが殺されたときの、レイが死んだときの、悪夢のような光景が頭から離れない。 そして、多くの命を奪ってきた自責の念は、俺が幸福に浸ることを絶対に許さなかった。 シン「命令に従って、多くの人の未来や幸せを奪ってきた。殺して、殺して、俺みたいに家族を失った人間をたくさん増やしてきた。 そんな俺が、みんなと同じところへ行けるわけが無い!」 マユ「・・・・せ、戦争をしたならみんなそうだったはずだよ! お兄ちゃんだけが悪いわけじゃないよ!!!」 シン「俺は多くの人を不幸にしておきながら、何の罰も受けてない。それどころか、俺は今誰よりも幸せなんだよ! そんなことが、そんな不公平が許されていいはずが無いだろ!」 マユ「・・・・・そんな」 シン「俺は戻って守らなくちゃならないんだ、帰って救わなくちゃならないんだ。そうして、犯した罪を償わなくちゃならなくちゃいけないん だ!そうじゃないと・・・俺は、俺はぁぁ!」 罪の意識に心が折れそうになる。頭がぐちゃぐちゃになって、もう何も考えられなかった。救えなかった。守れなかった。助けられなかった。 俺がもっと強かったら・・・。誰にも負けないくらい強かったら、この夢と同じ世界に居られたはずだ。 だからもう負けられない! 失えない! そのためにはどんなことをしてでも・・・。 マユ「もうやめて! お兄ちゃん。もういい、もういいよ」 シン「そんなわけが・・・・」 マユは俺に抱きついて、錯乱した俺を必死に止めようとしてくれる。突き放そうとした俺の腕は、マユの涙を前にあっけなく力を失った。 ああ、また大切な人を泣かせてしまった。俺はいつまでこんなことを続ければいい。 もう耐え切れなかった。人のやさしさが苦しい。誰かの温もりすら寂しい。そんな矛盾に何年苦しんできた? あと何回失って、あと何回大事な人を泣かせれば、俺は安息を得られるんだ・・・。 シン「ごめん、マユ。僕は・・・マユを・・・皆を・・・うああぁあぁぁああぁ」 マユ「大丈夫、もう苦しまなくていいよ。私達はここで幸せに暮らしてる。だから、泣かないで・・・・やさしいお兄ちゃん」 俺はマユを抱きしめていた手を離すと、マユと一緒にソファーに座った。 子供のころは二人で座っても隙間だらけだったのに、今ではぎゅうぎゅう詰めなのが、時の流れを思い出させて・・・なぜだか少し寂しかった。 シン「・・・・俺はやっぱり馬鹿だ。マユやステラを守れなかったから、替わりにリインフォースを救えば許されるかもしれないって、心のどこかで 考えてた。俺は許して欲しかったんだ。戦争だから仕方がないといって殺した人たち、守るといいながら見殺しにした大切な人々、そし て、目の前で死んでいったマユや父さん達に・・・・」 マユ「誰もお兄ちゃんのことは恨んでない。だから安心して、もうお兄ちゃんが苦しむ必要なんかないんだよ。一緒に向こうへ行こう。そうすれ ばそんな苦しみすぐに忘れるよ」 シン「・・・・そうかもしれないな。・・・俺も・・疲れた・・・・」 それができたら、この幸福な世界で一生を過ごせたら、俺はきっと最高に幸せだろう。 もう戦って大切なものを失うこともない。誰もが幸せで誰も傷つかない。たとえ夢でも、それは俺が叶えたかった一番の望みだったはずだ。 でも、約束したから・・・・。 なのは「あげるんじゃないよ、貸すんだけだよ。あとで絶対ユーノ君に返してね」 フェイト「・・・・・うん、今度は海に行きたい。もちろん二人っきりでね♪」 はやて「家族は信じあうもんやで、シン兄」 リインⅠ「シン、私もこの計画が成功すると信じている。一緒に八神家に帰る約束を忘れたのか?」 シン 「わかってるさ、できるだけ早く帰ってくる」 自分の心の内を明かして何もかも吐き出したおかげで、俺はようやくわかった。俺が望んでいたのが本当は何だったのか。 そして、いま何をすべきなのか。 シン「・・・・俺は、もう行かないと・・・・」 マユ「そんな・・・いや!絶対に行かせない!」 俺を必死で止めようとするマユを見て、心がずきりと痛む。 それでも、俺を待ってくれている人達のためにも、ここに留まることはできない。 シン「マユ、わがままを言うんじゃない。・・・・時間がないんだ」 マユ「どうして!? 戻ったらきっとまた苦しむことになるよ。お兄ちゃんは私達と一緒にいたくないの? ここには何でも有るんだよ。お兄 ちゃんが守れなかった物だって、おにいちゃんが欲しかった物だって!」 シン「・・・・」 マユ「望めばなんでも手に入るんだよ。それなのにどうして・・・」 シン「俺はここに来ても構わない。むしろあれだけ酷いことをしたのに、みんなといられるなら喜んでここに残る。でも、あいつはまだここに来 るべきじゃないんだ。俺の勝手な理屈でリインフォースまで死なせるわけにはいかないだろ?」 マユ「・・・・自分のことより皆のことを先に考える性格、変わってないねお兄ちゃんは」 マユは掴んでいた俺の手を自分の両手でそっと包み込んだ。 マユ「・・・・・悔しいけど、お兄ちゃんにとって私達はもう過去なんだね」 シン「・・・そうだ、過去は消せない。だからこそ、唯の自己満足でもいいから、新しい仲間を守って、一緒に未来を作らなくちゃいけないんだ。 それが、俺の贖罪だから・・・」 マユ「少し寂しいけどしかたないよね、私達は死んじゃったんだから」 シン「ごめんな、マユ。これが俺の選んだ道なんだ。たとえ夢でも、もう一度話せて嬉しかった」 マユ「お兄ちゃん、私も嬉しかったよ。でも・・・」 シン「・・・そんな寂しそうな顔するなよ。そうだ、いい事考えたぞ!」 マユ「えっ?」 シン「何十年先かわからないけど、いつか俺の代わりに俺の仲間がそっちへ行くと思う。みんな優しいから、マユもきっと友達になれる。それな ら俺がいなくても寂しくないだろ。マユは強い子だから」 そこに俺はいちゃいけない。たとえ許されても、この血塗られた手でマユの頭は撫でられない。 この返り血を浴びた体じゃ、目立ちすぎてみんなと遊びに行くのも無理だ。 だけど、みんながマユと同じところへいけるなら、俺は・・・どんな敵とだって、戦ってやるさ。 シン「さあ、もういかないときっとみんなも心配してるぞ」 マユ「・・・うん、わかった。でも、何年かかってもいいから、お兄ちゃんもいつかきっと来てね。また、昔みたいに色んなことして遊ぼうよ。今 度はおにいちゃんの友達も一緒に♪」 シン「・・・・・・ああ、約束だマユ」 マユ「うん、約束だよお兄ちゃん」 その言葉を最後に、マユの体が輝き始めて、あっという間に消えていった。 輝きを放ちながら消えていくマユはとても綺麗で、とても可憐で、大げさかもしれないけど俺には天使のように思えた。 シン「何度も約束を破り続けてごめん。俺は最後まで悪いお兄ちゃんだったな。でも、俺は俺の全てを失ってでも、皆を守りとおすって決めたん だ。だから、さよなら、マユ。」 風に懐かしい塩のにおいが混ざっている。 シンが目を開けると、夕焼けに照らされた慰霊碑の前に立っていた。 色とりどりの花も今は茜色一色に染まっている。周りには誰もいない。波の音だけが静かに、そして延々とながれていた。 シン 「デス子、いるんだろ。いや、最初から居たはずだ」 デス子「・・・はい、あなたの傍でずっと見ていました」 たとえ服が変わっても、ユニゾンをとかない限り、俺達が離れることはない。 だったら、答えは一つだ。こいつはわざといない振りをしていた。 シン 「なんで黙って見ていた? たとえ見かけが変わっても、一声かければお前が居るとすぐに気付いたはずだ。 俺があのまま夢に飲まれたらどうするつもりだったんだ?」 デス子「マスターが夢の中に留まるなら、それでもいいと思っただけです。あれも一つの幸福の形ですから・・・」 永遠に夢を見続けることが幸福、か・・・そうかもしれないな。間違っている、「そんな幸福は偽者だ!」なんて言えるのは、 正義という言葉に踊らされた偽善者か、自分が幸せである事に気づいてない愚か者だけだ。 どん底に落ちた人間はそれがどんな幸福でも掴みたがる。そこには本物と偽者の境界線などありはしない。 俺がそうだったから、よくわかる。 シン 「一つだけ聴きたい事があるんだ。俺は・・・・マユが消えるとき笑っていられたか? ・・・それとも悲しい顔をしていたのか?」 デス子「・・・・終始・・・笑っていました。ご立派でした、マスター」 シン 「・・・・・・・・そうか、やっぱりお前は嘘が下手だな、デスティニー」 デス子「・・・私は、マスターの愛機ですから」 シン 「・・・情けない所を見せたな」 です子「いいんですよ(そんなところも含めて、私はマスターが大好きなんですから)」 シン 「・・・・ありがとう。そろそろ、行こうか。思ったより時間がかかったみたいだ」 住み慣れた家が崩壊していく。 俺の望んだ夢が消えていく。 残ったのは何もない闇と・・・目の前に立ち塞がる馬鹿でかい化け物だ。 シン「あれが、闇の書の闇。再生機能によって無限再生する化け物か。再生はほとんど終わってるな」 デス子「行きますよ、マスター。もう一度ユニゾンです!」 シン「感謝してるよ。たとえ夢だとしても、お前のおかげでもう一度マユと話せた。 その礼だ!今日この場所で、破壊しかできないお前の運命を俺が終わらせてやる!」 再び輝きを取り戻した赤い翼が深遠の闇に舞い上がる。 シンの魔法を使った初めての実戦が、今始まろうとしていた。 前ページ次ページなのはクロスの作品集